松平健、コロッケ、久本雅美、檀れいの異色共演が生み出す強力なシナジー! 舞台ならではの演技にも注目の『大逆転！大江戸桜誉賑』

コメディ色の強い時代劇となる本作の見どころの一つになっているのが、あらすじからもわかる通り、時代劇スター・松平、女優・檀、モノマネ名人コロッケ、コメディエンヌ・久本による掛け合いだ。短気な殿様である御門守はすぐにカッとなってしまう一方、江戸っ子気質の万吉は言い争っていてもどこか飄々としており、見ている側としては万吉に御門守がうまく乗せられているようにも見えてしまう。

これには演じる2人のバックボーンの違いも影響しているのかもしれないが、ある意味で闘牛と闘牛士の関係に近いのだ。だからこそ、水と油に思える2人が言い争う姿を見ていて、不思議と心地よさが感じられるのだろう。

これだけではなく、常に茶々を入れてペースをかき乱すお玉、柔軟な対応を見せるお琴の方とそれぞれ個性的な掛け合いをしつつ、得意のパフォーマンスを披露していく

また、テレビ時代劇とは違う舞台ならではの演技や演出に注目して見るのも面白い。松平で言えば、演技の間だ。目の前に観客がいる舞台では、テレビで見せる演技とは違ってリアクションを促す間を設けていることが見て取れる大きな違いだ。

さらに、松平の緊迫した立ち回り、檀のシェルブールの雨傘風ナンバー、コロッケのモノマネショー、久本の暴走する恋心を歌うナンバーがあるなど普通はまずお目にかかれない演出は、まさになんでもありのエンターテインメント時代劇と呼ぶにふさわしい。

これらの様々な要素をうまくハイブリッドさせた松平、コロッケ、久本、檀の演技に注目だ。

文＝安藤康之

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