74分という比較的に短い長さの映画なのに見応えがあるのは、主人公である浅井の感情の起伏をリアルに感じることができるからだろう。ジヨンに追い詰められていく浅井を見ながら、観客も共感し追い込まれて恐怖する。それくらい没入させる力が生田の演技にあるのだ。
また一方、ジヨンの不気味さも本作の大きな魅力になっている。過去の殺人を告白することはまだ理解できるが、その後、口封じのためだけに執拗に迫ってきたり、ましてやケガした足を引きずり匍匐前進をしながらも迫ってくる姿は狂気でしかない。そしてその狂気には幽霊やお化けとはまた違った恐ろしさと執念が感じられる。
そんなジヨンを演じたヤン・イクチュンは、日本映画「あゝ、荒野」(2017年)などでも強烈な存在感を発揮してきた俳優。ワイルドな役を演じることが多いが、今回は無口で朴訥な青年から次第に殺人鬼に変化していく、見事な変身ぶりを披露している。
韓国人留学生という設定のため、日本語と韓国語を巧みに使いこなしながら、怒りをぶつけていく姿は見ているものを恐怖に陥れる。韓国語の懺悔にも近い独白は自らの行動を肯定しているようで、ジヨンが話の通じない殺人鬼にしか見えなくなるから不思議だ。
感情をぶつけ、救助隊が訪れる朝までケガをしながらも死の追いかけっこをする2人。その演技バトルは手に汗握るし、時には飛び上がるほど驚かされる。そしてストーリーとしては最後に驚きの仕掛けが待っている。
生田とヤンとの2人芝居を存分に楽しめる本作。ホラーやサスペンスといったくくりでは表現できない、人間の狂気を堪能してみよう。
文=玉置晴子
放送情報【スカパー!】
告白 コンフェッション<PG-12>
放送日時:1月19日(日)21:00~ ほか
※本作に続けて、「告白 コンフェッション」ディレクターズ・カット版(モノクロver.)<PG-12>も放送
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