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二階堂ふみが無邪気ながらも、怪しげな色香を漂わせる作品「蜜のあわれ」

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金魚の赤子(二階堂ふみ)と老作家のおじさま(大杉漣)
金魚の赤子(二階堂ふみ)と老作家のおじさま(大杉漣)

(C)2015『蜜のあわれ』製作委員会

特におじさまと赤子が屋敷で言い合うシーンが印象的だ。おじさまが他の女と会っていたことを知った赤子は怒りに身を任せておじさまを庭の水に突き落とし、原稿を庭に投げてしまう。その時の二階堂の表情はさながらおもちゃを取り上げられた子供。けれども、そこに思い人に裏切られた悲しみが存在している。

だが、その喧嘩の直後、赤子は「おじさまの子供がほしい」といい、その為に他の金魚と交尾してくる、と告げる。思い人に裏切られた、だから悲しい。そういった場面をみせたはずなのに直ぐに感情を無視した動物的な発言をする赤子は観客からしても理解が難しい。二階堂はそんな役どころをしっかり理解しているようにみえる。恋愛において相手が好き、けれど相手が考えていることや気持ちまで理解が及んでいない。そんな子供と大人のような態度に金魚的ともいえる動物的思考を加えた二階堂の芝居はまさに水中の金魚のようにスイスイとスクリーンを泳いでいた。それはあざといとは違う新しい形の小悪魔的芝居にみえ、作中の根幹をなしていたといえるだろう。

二階堂は2019年にも「人間失格 太宰治と3人の女たち」でも文豪の愛人役で色香をみせているが、「蜜のあわれ」は明らかに色香のタイプが違う。是非、2作品を比べたりしつつご覧になってはいかがだろうか。

文=田中諒

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放送情報【スカパー!】

蜜のあわれ
放送日時:3月30日(日)00:15~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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