対して竹中は、抑制の効いた演技で妻を失い感傷的になる男性像を体現しており、共感を誘う。さらに、編集者の水谷を演じる松たか子のほか、三浦友和、浅野忠信といったビッグネーム、さらにアラーキー本人も終盤にカメオ出演するなど、豪華出演陣が顔を揃えている。

また、東京での日々を彩る音楽と主題歌をシティポップの代表的シンガー・大貫妙子が担当。坂本龍一やフェビアン・レザ・パネといった気心知れた盟友たちと共に作り上げた、軽妙でシャレた楽曲から郷愁を誘うような美しいナンバーまで、第21回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した多彩な音楽が作品に深みを与えている。

儚げな存在感が光る中山の代表作として挙げられる「東京日和」。「没後1年 中山美穂特集」で放送される「波の数だけ抱きしめて」(12月3日(水)放送)、「Love Letter」(12月4日(木)放送)と合わせて、改めて女優・中山美穂の魅力を堪能したい。

文＝HOMINIS編集部