まだ高校生である源治の幼さが感じられるシーンも、小栗は非常に印象深い演技で魅せてくれる。源治が"てっぺん"を取るべく協力するチンピラヤクザ・片桐拳(やべきょうすけ)と語らうシーンでは、素直で柔らかい雰囲気があるし、本作のヒロイン・逢沢ルカ(黒木メイサ)と目が合った時に思わず視線を迷わせるといった、うぶな姿も見られる。

また、自分の行動が原因で離れそうになった仲間を呼び戻す時には、不良らしい、無骨でストレートな言葉で語りかける。その時の源治は、少し、言いにくそうにしながらも、お互いの絆を大切に思う気持ちが滲み出ている。そんなシーンでは、源治が戦いの中で成長していることが伝わってくるし、それを自然に実感させてしまう小栗の演技もさすがと言える。

喧嘩に明け暮れる中で見せる熱い姿、また、純であどけない雰囲気など、小栗は源治という少年をあらゆる面で自然に、かつ魅力的に演じている。だからこそ、荒くれの不良たちの生きざまがリアルに伝わってくるし、物語に惹き込まれてしまうのだろう。もう20年近く前の作品だが、熱が伝わってくる小栗の演技を、今だからこそ見てみてほしい。

文＝堀慎二郎