2025年から2026年にかけて、映画やドラマで活躍が続く勝地涼。そして作品ごとに印象を変えながら、いま最も注目を集める俳優の一人となった河合優実。そんな二人が同じ物語の中でぶつかり合い、さらに小泉今日子が全体を引き締める役割を担っているのが、岩松了作・演出の舞台『私を探さないで』だ。
物語の出発点は、"失踪"である。結婚が決まり、報告のために地元へ戻った古賀アキオ(勝地)は、高校時代に突然いなくなった同級生・三沢晶(河合)の記憶を呼び起こされる。晶が消えた理由には、自分も関わっていたのではないか----その思いを、アキオは長い間抱え続けてきた。過去の出来事を「なかったこと」にできないまま大人になってしまった人間の顔が、彼の立ち姿には最初から出ている。
そんなアキオが再会するのが、当時の担任で、いまは作家として成功している大城ユイ子(小泉)だ。しかもユイ子は、アキオと晶をモデルにした小説『無人島』を書き、それが評価されていた。自分の過去が"作品"として世に出ている。その事実だけでも心がざわつくのに、当のユイ子はどこか淡々としている。ここから物語は、「誰が悪いのか」よりも、「残された側がどう壊れていくのか」という方向へじわじわ進んでいく。
勝地が演じるアキオは、「正しいことをすれば救われる」というタイプではない。結婚が決まって人生が前に進みそうな時期でも、高校時代の出来事がずっと引っかかったままになっている。勝地は、その引っかかりをセリフで説明する前に、表情で伝えるのがうまい。特に印象的なのが、ユイ子が「あなたたちをモデルに小説を書いた」と打ち明ける場面だ。アキオは事実を聞いて終わりにはできず、「その時、なぜユイ子は誰かの手を掴んだのか」と、仕草の意味までしつこく問い詰める。相手の指先に目が吸い寄せられたかと思うと、次の瞬間には目つきが変わり、逃がさないように相手を見据える。その表情の変化だけで、アキオの中で感情が抑えきれなくなっていることが伝わってくる。
ただ、彼がそこまで問い詰めるのは「真実を知りたい」からだけではない。過去に理由をつけて整理しないと、自分が前に進めないからだ。だから問いが鋭くなるほど、アキオ自身も傷ついていく。その苦しさがまっすぐ見えるからこそ、観ている側も目を逸らせなくなる。









