(C)2017「関ヶ原」製作委員会
岡田が演じる三成は、圧倒的なカリスマ性で戦国時代を駆け抜ける秀吉に忠誠を誓いながらも、利害によって天下を治めることに疑問を抱き、正義で世の中を変えようとする武将。華美な着物で酒と乱痴気騒ぎに溺れる秀吉とは正反対に、地味な着物を身に纏いながら書をたしなみ、堅実な視線で戦局を見つめる。そんな三成を岡田は、低いトーンでのセリフ回しで重厚に表現。三成という人物が実直で誠実な人物であることを強く印象付けている。
そして有村は、三成が刑場で出会い、命を救ったくノ一の初芽をクールに演じている。伏見にある三成の屋敷で目覚め、侍女から短剣を奪って三成の首元に突きつける場面で有村が浮かべる瞳の色は、どこまでも暗く冷たい。また、「なぜ自分の命を救ったのか」と初芽が問うた時に三成が「そちの勇気に感銘した」と答えた瞬間には、初芽の戸惑いを表現するように頬を細かく動すなど、些細な仕草で魅せる演技が見事だ。
伊賀出身という彼女の過去を聞いた上で、「そちたち母子3人が命をかけて築いた縁、ぜひ仕えてくれ」と三成に乞われた際に、「この人は信用に値するのか」と少し上目遣いで様子を伺う初芽。その後、「ならば犬と思し召せ。人とも女とも思うてくださいますな」と一線を引きながらも、三成に仕えることに。その後は各武将に仕える忍びたちのネットワークを駆使し、主君を支えていく。その献身ぶりや、戦局を正しく見つめる聡明さに触れる中で、三成はいつしか1人の女性として初芽を愛おしく思うようになる。
その感情が表面化するのが、初芽が三成の親友・大谷刑部に戦局を伝えるため越前へ出立する際に、「いつ戻る?」と尋ねるシーンだ。戸惑いの表情を浮かべながら、「5日後には大阪の屋敷で落ち合える」と答える初芽に、三成は「必ず戻ってまいれ」と声をかける。そのセリフを口にする岡田の声は、それまでの三成とは打って変わり、切実かつ慈愛の色が濃い。有村も「いたわりの言葉のような気がいたしました」という初芽のセリフを柔らかく明るい声で表現し、くノ一とは異なる初芽の素顔をのぞかせた。
この出来事を機に、三成の初芽への恋心はあふれ出す。馬に乗って初芽の後を追いかけてきた三成は、ついに彼女に秘めていた想いを打ち明ける。互いを見つめる時に岡田と有村が視線で表現する、静かながら熱い心のふれあいは必見だ。
主君と配下という関係性ながら、互いに惹かれあう三成と初芽。しかし、戦乱の世は彼らの愛をも大きな運命の渦に飲み込んでいく。徳川家康率いる東軍に敗れ、最期の場所に赴く三成を描くラストシーンでは、再び岡田と有村によるセリフのない熱演が待ち受けている。さまざまなドラマや映画で描かれてきた"関ヶ原の戦い"を石田三成とその愛妾・初芽にフォーカスを当てて描いた重厚かつロマンチックな時代劇だ。
文=中村実香









