志尊淳×岸井ゆきの「恋は闇」――連続殺人事件と恋が交差する物語で鮮烈に描かれた"男女の危うい均衡"
俳優
(C)NTV
志尊が演じたのは週刊誌のフリーライター・浩暉。どこよりも早く詳しい情報を取ってくるのは彼の手腕で、「ホルスの目殺人事件」についても警察発表前の情報を記事にするなど、記者の間でも有名な人物。しかし悪い噂も絶えず、あまりの情報の早さゆえに警察からも早々に目をつけられている。初対面の人とも気さくに話し、明るい雰囲気を纏った浩暉だが、物語が進めば進むほど怪しさが増してゆくミステリアスな存在だ。
そんな浩暉が持ち合わせる陰と陽の二面性を、志尊が緻密な演技で描き出している。会話の途中でふっと表情が消えて何かを考え込むような瞳の陰りや、一拍置いてから言葉を返す"間"、軽い口調から急に温度が消えたように冷たくなる声色。浩暉の陰の部分を志尊がしっかりと表現しているからこそ、明るく振舞っている時の浩暉を見ていても「これは本来の姿なのか、取り繕っているだけの姿なのか」と疑念が募っていき、沼にハマっていくかのように作品の世界に引き込まれる。
(C)NTV
一方の岸井が演じる万琴は、彼とは取材スタイルも性格も真逆。彼女は学生時代の経験からトラウマがあり、"カメラを向けられる側"の恐怖も知っている。だからこそ、被害者や遺族にも寄り添い、いつでも彼らの味方でいたいという信念を持っているのだ。しかしそれと同時に、真犯人を明かして真実を伝えたいという報道記者としての熱意も本物。トラウマゆえに踏み込んだ取材ができない自分と、真実を世間に届けたい自分。2つの自分の間で葛藤し、もがきながらも前に進む万琴の変化を、岸井がリアリティのある演技で映し出している。言葉を飲み込む瞬間の喉の動きや、トラウマに震える手の動き、浩暉に疑念を抱いた瞬間の息の詰まりなど、岸井の細やかな表現からは万琴の心情がリアルな温度で伝わってくる。
掴みどころのないミステリアスな浩暉の不穏さを体現した志尊と、"愛した人が殺人鬼かもしれない"という計り知れない心境を鮮烈に演じた岸井、両者の演技が見事だ。愛ゆえに闇が深まっていき、徐々に緊迫感を増してゆく重厚なミステリーに仕上がっている同作。彼の笑顔は、光か、それとも影か。物語の結末を、その目で確かめていただきたい一作だ。
文=HOMINIS編集部









