塩野瑛久草なぎ剛の上司役に!コミカルな演技で作品に清涼感を与える「終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-」

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草なぎの誠実な役作りから構築された人情深い鳥飼のキャラクターと、それを十二分に表現する演技はいうまでもなくすばらしいのだが、鳥飼は「どこまでも故人を思い、遺族に寄り添う人情派の遺品整理人」で、常に達観したような落ち着きを有している役柄である。

そのため、このブレないキャラクターが柱となっている作品において、"エンタメ性"という観点では、周りがどれだけ"わちゃわちゃ"できるかが鍵となる。その中で、遺品整理の依頼人や故人にまつわる物語や、ドラマの縦軸となる「御厨ホールディングス」との戦いの他、海斗も作品の"エンタメ性"において大きな役割を担っている。

というのも、ベテラン社員の海斗はチーフを担っており、年上だが後から入社した鳥飼の上司というポジションなのだが、いつも鳥飼が遺族や故人に寄り添い過ぎるため、業務的に迷惑を被っているという役どころで、人情的には正しい鳥飼の行動を責めるわけにもいかず、つい感化されて手伝ってしまうという人のいいキャラクターなのだ。

そんな海斗を、塩野は非常にコミカルに演じており、全11話から成る物語の前半は、鳥飼に振り回される三枚目の役柄で、要所要所でくすりとさせてくれる。遺品整理という重いテーマを扱っているため、作品的にどうしても重くなりがちな中、海斗のコミカルさが作品に一時の清涼感を注入しており、"重くなり過ぎない"という効果を与えている。

また、コミュニケーションが苦手な新入社員・久米ゆずは(八木莉可子)との距離が縮まっていく中での、猪突猛進な"一途過ぎる"恋愛を、視聴者に不快感を抱かせない軽やかさで表現しているところも、作品の"エンタメ性"に寄与しているといえるだろう。

■塩野は海斗という人物を通して演技の幅の広さを発揮

一方で、コミカルさや軽やかさだけでなく、ゆずはを"毒親"から守ろうとする一生懸命な姿や、後半にかけてストーリーの縦軸に大きく絡んでくる転職先でひたむきに頑張る姿など、同じ人物の硬軟をしっかりと演じ切っており、一人のキャラクターを通して演技の幅の広さを発揮している。

「同じキャラクターで硬軟を表現する」というのは、想像以上に"言うは易く行うは難い"もので、「クールならクール」「ひょうきんならひょうきん」と決まったベクトルを演じる方が100倍やりやすいのだが、塩野は正反対のベクトルの演技を披露して存分に実力を発揮している。

悲しい過去を経験して遺品整理人として働く鳥飼の遺族や故人に寄り添う姿や、社員の尊厳を軽視する大企業に立ち向かう姿、その狭間で揺れ動く真琴との恋愛模様といった作品の醍醐味と共に、作品全体の雰囲気に少なからず影響を与えている塩野の熱演にも注目してみてほしい。

文=原田健

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