戦国武将に息を吹き込んだ役所広司、大泉洋の演技が圧巻!「清須会議」に刻まれた名演を振り返る
俳優
(C)2013フジテレビ 東宝
勝家を演じる役所は、10月配信予定のドラマ「俺のこと、なんか言ってた?」で主演を務めるなど、70歳を迎えた今年も安定して活躍中だ。同作での演技の見どころは、織田家家臣として戦場を駆け巡った功臣・勝家を、人間味がにじみ出る人物に仕上げたところだろう。
本能寺の焼け跡を眺めるシーンでの悲壮な表情や、後見人として織田家を支えていく決意をした時の重々しい空気からは、信長への忠誠心がひしひしと伝わってくる。
勝家は表情も豊かで、清須城を訪れた時に鎧を鳴らしながら現れ、太い声で丹羽長秀(小日向文世)と語らうシーンはまさに無骨な武士の姿だ。かと思えば、お市に擦り寄られ、緊張のあまり顔をこわばらせるシーンもある。
武士らしい荒っぽさはあるものの、その演技からは勝家が真っすぐで、素朴な人物であることが伝わってくる。評定の前日、広間に飾られた信長の鎧を見ながら、信長を慕うあまり気持ちが高ぶりつい泣き顔になったり、評定の結果が出た時の悲哀に満ちたまなざしは、心に残るほどだ。
■大泉洋の幅広い演技によって"天下人・秀吉"がスクリーンで躍動する!
羽柴秀吉は、農民から成り上がった戦国武将。大泉が演じる秀吉も、他の織田家家臣とはひと味違う空気がある。物語の当初は、陣屋で握り飯を頬張ったり、指についた米粒を舐め取る仕草、また、自宅の縁側で家族との会話中に貧乏ゆすりをしたりと、品のない動作が目立つ。コメディを得意とする大泉だけに、そういったユニークな仕草も板についているし、そこから秀吉の自出や、気取らない人物であることが伝わってくる。
その一方で、大泉は天下を狙い、熱を帯びていく秀吉の姿を印象的に演じている。清須会議の知らせを受けた時には、腹が決まった清々しい表情で「支度だ」とつぶやく。清須に赴いてからは、勝家に付いた長秀を押しの強い態度で説得し、評定では、自信に満ちた朗々とした声で皆に力説する。
大泉が演じる秀吉はコメディとシリアスのバランスが絶妙で、それを違和感なく仕上げた演技力とセンスはさすがというほかない。また、画面に秀吉が現れただけで、何かやってくれるのではないかとつい期待してしまうほど、引き込む力に満ちたキャラクターとなっている。
役所と大泉の演技からは、勝家と秀吉の人物像だけでなく、それぞれの未来までもが透けて見えるように思う。天下人を目指す秀吉には凛とした空気が漂っているし、織田家への忠誠を大切にするあまり未来を見ていない勝家は、どこか悲哀を帯びている。
ラスト前、勝家と秀吉が腹を割って話すシーンなどは、消えゆく者と未来へ進んでゆく者の差が空気に現れており、それを演技で感じさせる役所と大泉は、まさに"名優"といえる。本作でぜひ、日本屈指の俳優2人の名演をじっくりと味わってほしい。
文=堀慎二郎




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