久保史緒里と平祐奈が紡ぐ青春のリアリティ――阪元裕吾監督作「ネムルバカ」で体現したゆるやかな空気
俳優
(C)石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会
同作は、心地良さと焦りが同居する"大学生"という不思議な時間の中で、自分らしさを見つけようともがく若者たちを描いた傑作青春ストーリー。平凡な大学生、柚実とルカの日常には大きな事件などは決して起こらないが、心地よい毎日を過ごすながらも少しずつ変化していく2人の心境が描かれている。
久保が演じる柚実は、まだ夢を見つけられていない大学生。特別に打ち込むことがなく、だからこそバンドで売れるという夢を持つルカに憧れや羨望を抱いている。しかしゆったりとした暮らしの心地よさやルカを慕う気持ちの一方で、将来への漠然とした不安や、才能のあるルカへの嫉妬があるのも事実。そんな柚実の言葉にならない焦りや諦めを細かな表情や間で見せる久保の繊細な演技が印象的だ。
平が演じたルカは少し気だるげな空気を纏ってさっぱりとした物言いでありながら、柚実の膝の上に頭を置いて寝転がったり、自身のライブ帰りにナンパされている柚実をスマートに助けたりと、柚実が彼女に憧れるのも納得。ステージの上で披露する透明感溢れる歌声も魅力的だ。そんなルカを平は飄々とした佇まいながらも鮮やかな存在感を放って好演。また、夢があることを周囲から羨ましがられる反面、「本当に夢は叶うのか」と不安を抱いたり現実との折り合いに苦しんだりと、ルカが"夢を持っているからこその焦燥感"を抱えていることも伝わってくる。
まだ夢を見つけられていない者と、夢がある者。そんな対照的な2人のささやかな日常と心境の変化を映し出す、久保と平の自然な掛け合いも魅力的。ゆるさの中に潜む切なさを描き出した青春ドラマを、楽しんでいただきたい。
文=HOMINIS編集部











