役所広司が体現した"静かな演技"の凄み...カンヌ最高賞「うなぎ」で見せた孤独と再生

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「うなぎ 完全版」
「うなぎ 完全版」

© Softgarage/松竹ブロードキャスティング/ケンメディア

しかし、そんな山下の生活に変化をもたらすのが、自殺を図った女性・桂子(清水美砂)との出会いだ。山下に助けられた桂子が、彼の理髪店で働き始めることで、山下の「静」の演技にグラデーションが生まれ始める。

つとめて明るく振る舞う桂子に対し、山下は当初距離を置こうとする。それでも何度も手作りの弁当を差し出そうとする桂子や周囲の人々との交流を重ねるうちに、頑なだった表情や声にも少しずつ変化が生まれていく。

閉ざされた心にヒビが入り、抑えていた感情がふと滲み出てしまう瞬間だ。こうした極めて繊細な「仕草」の変化を積み重ねることで、罪悪感を抱えながらも、他者からの温もりにどう対処していいかわからない不器用な男の内面を、言葉に頼ることなく雄弁に伝えている。

「うなぎ 完全版」
「うなぎ 完全版」

© Softgarage/松竹ブロードキャスティング/ケンメディア

本作の面白さは、静かに生きようとする山下という男が、泥くさくエネルギッシュな周囲の人間たちとの「化学反応」によって次第に掻き乱されていく点にある。刑務所時代の知人・高崎保(柄本明)による嫌がらせ、桂子をめぐる人間関係など、自ら望んでいなくても、山下は次第に周囲の出来事に巻き込まれていく。

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