© Softgarage/松竹ブロードキャスティング/ケンメディア
そして、「うなぎ 完全版」では、劇場公開版117分に未公開シーンを追加した約134分のバージョンを楽しむことができる。周囲の人物たちのエピソードがより描き込まれていくことで、山下を取り巻く人々の人間くささと、そこに巻き込まれていく彼の姿を、より濃密に味わうことができる。
「PERFECT DAYS」で"何気ない日常を生きる男"の機微を世界に届けた、現在の役所広司。そんな彼が世界へ進出する前に見せた、罪と孤独を背負いながらも不格好に再生していく男の姿は、今あらためて見るからこそ新鮮に映る。
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役所は2021年の西川美和監督作「すばらしき世界」でも、13年の刑期を終えた元受刑者・三上正夫を演じている。
「うなぎ」と「すばらしき世界」は、どちらも刑務所を出た男が社会との接点を取り戻していく物語だが、人物像も演技のアプローチも大きく異なる。「うなぎ」の山下が感情を内側に抱え込むのに対し、「すばらしき世界」の三上は、社会の中でもがきながら感情をむき出しにする。その違いからも、役所広司という俳優の表現の幅を感じられる。
実際、役所本人も「すばらしき世界」の役づくりを振り返るインタビューで、「うなぎ」の撮影時に刑務所を訪れ、受刑者の歩き方を学んだ経験を明かしている。罪と絶望を背負い、それでも他者との関わりの中で少しずつ変化していく山下。その"再生"を大きな身振りではなく、視線や声、仕草の変化によって見せた役所広司の演技は、約30年の時を経た今も色あせない。
「PERFECT DAYS」で改めて世界から注目を集めた名優の歩みをたどるうえでも、「うなぎ」は見逃せない一作だ。
文=HOMINIS編集部











