福山雅治が演じる"ダークヒーロー"の新鮮さ 東野圭吾原作『ブラック・ショーマン』で見せた新たな顔

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©2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会

そんな武史の隣で、観客に近い視点を担うのが有村架純演じる真世だ。父を突然失った真世は、長く疎遠だった叔父と行動をともにすることになる。武史の突拍子もない行動に驚き、怪しければ疑い、振り回されればきちんと反発する。その反応があることで、武史という人物がさらに面白く見えてくる。

武史だけを見ていれば、鮮やかな推理もマジックも当たり前のように進んでしまう。しかし真世が横で戸惑い、驚き、ときには食ってかかることで、武史の常人離れした部分が浮かび上がる。恋人でも仕事仲間でもなく、叔父と姪。少し距離のある関係だからこそ、2人の掛け合いにも独特の面白さが生まれている。

©2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会

有村は2026年にも映像作品への出演を重ねているが、『ブラック・ショーマン』でも印象に残るのは、福山の強いキャラクターを受け止めながら、真世自身の感情をきちんと残しているところだ。武史とのやり取りでは軽快に反応しながら、父の死に向き合う場面では空気が変わる。振り回されるだけの"相棒"ではなく、真世の物語としても見られるのは、有村の芝居によるところが大きい。

『ガリレオ』で長く作品をともにしてきた東野と福山が、その関係の延長線上でたどり着いたのが神尾武史という主人公だった。湯川学とは異なる方法で真相へ迫る武史を福山がどう立ち上げ、その隣で有村演じる真世がどう受け止めるのか。2人の掛け合いまで含めて、『ブラック・ショーマン』にはこれまでの東野×福山作品とは違った面白さがある。

『ガリレオ』を知っている人なら、湯川との違いを楽しみながら、福山が演じる新たな主人公像に触れられるはずだ。そこに有村との軽妙な掛け合いが加わり、『ブラック・ショーマン』ならではのバディものとしての魅力も生まれている。東野と福山が長い関係の先で生み出した神尾武史という男、そのショーマンぶりにあらためて注目したい。

文=川崎龍也

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