【タカラヅカ】月組・珠城りょう愛希れいか主演で三銃士の物語を描く「All for One」

「All for One」は、かのアレクサンドル・デュマの小説「三銃士」を原作とした宝塚オリジナルの浪漫活劇(アクション・ロマネスク)。脚本・演出は「エリザベート」などで知られる小池修一郎だ。「三銃士」を舞台化した作品は数あれど、この作品はひと味違う。この時代のフランスを治める「太陽王」ことルイ14世が「実は男女の双子の片割れで女性」という設定なのだ。

愛希れいか

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

ルイ14世が双子だったという設定は、「鉄仮面伝説」を思い出させる。タカラヅカでも「ブルボンの封印」(1993年・雪組)や「仮面の男」(2011年・雪組)などの題材となっている。「All for One」では双子の片割れは妹だ。双子は不吉ということで赤子のうちに妹の方を捨てたはずが、間違って王子の方を捨ててしまった。やむなく男の子として育てられた妹は、乙女心をひた隠しながら偽ルイ14世を演じ、大好きなバレエにうつつを抜かしている。この物語は、そんなところから始まる。

ルイ14世を演じるのは、月組トップ娘役の愛希れいか。彼女にしか演じられないのではないかというほどのハマり役だ。もともと男役から転身した愛希だけに、ルイ14世としての仮初めの姿も様になっている。しかし、男にしてはどことなく愛くるしい。その絶妙なバランスは、元・男役、現・娘役の愛希ならでは。バレエ好きというところも、ダンスに定評のある愛希を彷彿とさせ、晴れて女性に戻った時のドレス姿にも目を見張らされる。

珠城りょう

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

そんなルイ14世がある日、女性に戻ってお忍びで街に出掛けたとき、恋に落ちてしまうのが、珠城りょう演じる銃士隊のダルタニアンである。やがて、ダルタニアンも秘密を知り、ルイ14世を守るため、銃士隊の仲間たちと共に奔走することになる。ガスコーニュ出身の素朴で生真面目な若者という役どころが、月組トップスターの珠城にぴったりといえる。そして、珠城ならではのスケールを感じさせる"壁ドン"にも注目だ。

そして2人に迫るのが、宮廷で実権を握る宰相マザラン一派の魔の手。マザランの甥であり、一派のリーダー格としてダルタニアンら銃士隊を陥れようとするベルナルド(月城かなと)は原作小説には出てこないオリジナルキャラクターである。敵役のはずなのに、どこか抜けていて肝心なところのツメの甘さが憎めない。

もちろん、おなじみの三銃士も大活躍。クールで知的なリーダー、アトス(宇月颯)、陽気で力に自信があるが酒には目がないポルトス(暁千星)、女心を自由自在に操る色男アラミス(美弥るりか)、それぞれの見せ場がたっぷりあり、持ち味が存分に発揮される。

他にも、ルイ14世が女性とは知らず、その妃の座を狙ってお色気作戦で迫るモンパンシェ公爵夫人(沙央くらま)、政略結婚のためスペインからやって来た王女マリア・テレサ(海乃美月)、そして物語の鍵を握る旅芸人一座のジョルジュ(風間柚乃) など、色濃いキャラクターが多数登場する。

突拍子もない設定に驚かされるが、そんなことも気にならなくなってしまうほど、抱腹絶倒、勧善懲悪なストーリー展開が気持ち良く、トップコンビが見せる純愛に心をつかまれる。観た後、気分が晴れること間違いなしの痛快な一作をぜひ堪能してほしい。

文=中本千晶

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放送情報

『All for One』~ダルタニアンと太陽王~ (17年月組・東京宝塚劇場・千秋楽)

放送日時:2018年9月2日(日)21:00~

チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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