北川悦吏子が描くスマートになりきれない斎藤工の魅力

「運命に、似た恋」
「運命に、似た恋」

上戸彩と共演した「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」(フジテレビ系)では不倫の恋に走る不器用な男を好演した斎藤工。ベッドシーンも披露し、すっかりセクシー俳優の代名詞になった。それを毒舌で知られるマツコ・デラックスにからかわれ、「顔面が性器みたい」とすごいことを言われたが、映画監督や映画批評の活動もしている彼だけに、それをネタにするほどの客観性も持ち合わせている。

■「あなたは運命の人だから」と口説くもオラオラ系にはなれず

「運命に、似た恋」

©NHK

そんな斎藤が出演したラブストーリー「運命に、似た恋」(NHK総合ほか)がチャンネル銀河で一挙放送される。役どころは、原田知世演じる年上のシングルマザー、カスミと恋に落ちる新進気鋭のデザイナー、ユーリ。彼は東京都心のおしゃれなビルに事務所と住居を構え、雑誌の表紙も飾るほどの人気者でありながら、オラオラ系の男ではない。その艶めかしい外見と、現場でものづくりをするときの生真面目な表情のギャップがいい。クリーニング店の配達の仕事で住居を訪れたカスミに対しても、最初は壁ドンのマネをしてみたり、「あなたは運命の人だから」と遊び慣れた人のように口説いてみたりするが、いざとなると本気の恋だけに慎重。物語が進むにつれ、ユーリが過去に何かを抱えていて、どこか自信なさげという素顔が見えてくる。

■セクシーで情熱的で無邪気。ラブシーン上級者としての実力を発揮

「運命に、似た恋」

©NHK

斎藤はシンプルな服を着こなし、キラキラと輝くクリエイターを体現。ラブシーンも多く、ユーリがカスミと初めてキスをする場面では、美しい展示物の中で幻想的な口づけを交わす。さらに、ユーリがホテルのベッドの上でカスミと語らう、いわゆる"事後"の場面でも筋肉質の上半身を披露し、ラブシーン上級者としての実力を発揮。ハイスペックなセクシーさを振りまきながら、カスミとの場面で見せる情熱的で無邪気かつちょっと寂しげな表情が、女性の心をわしづかみにする。

■「半分、青い。」などの脚本を手がける北川悦吏子によるラブストーリー

「運命に、似た恋」

©NHK

本作は朝ドラ「半分、青い。」(NHK総合ほか)などを手がける脚本家・北川悦吏子らしい王道のラブストーリーで、男女が幼い頃に出会ってある約束を交わし、大人になってから運命的な再会を果たす。そして、恋のライバルの攻撃(山口紗弥加が熱演!)や周囲の反対という壁を乗り越えて結ばれる。しかし、タイトルが「運命に、似た恋」というだけに、設定にひとひねりあり、結末まで見ればユーリの抱えているものがカスミとの関係に重くのしかかってくる。

そもそも、ドラマにおける斎藤工の魅力はスマートな男になりきれないところにあると思う。本作のユーリは才能と外見に恵まれた"選ばれし人間"だが、部下に対してえらそうではないし、金や権力にも興味がない。再び北川と組んだ「半分、青い。」でも、後輩のアイデアを盗み後悔する映画監督の役だった。いじめる方かいじめられる方かで言えばいじめられる方だし、女性を責める方か女性から責められる方かというと、なぜかいつも責められてしまっている。イケメンなのにそんな弱さもあるところが、見る人の母性本能をくすぐるのかもしれない。4月クールの新作ドラマ「東京独身男子」(テレビ朝日系)でも、妻にさんざん浪費されて離婚し、結婚にこりたバツイチの歯科医役。「運命に、似た恋」は、そんな不憫な役が似合ってしまう斎藤の代表作のひとつとして押さえておきたい。

この記事の全ての画像を見る

放送情報

運命に、似た恋
放送日時:2019年4月6日(土)00:00~ほか
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

関連人物