星野源×気弱な男がなぜか最強なワケ

俳優としても大活躍。主演映画『引っ越し大名!』が8月30日より全国公開される星野源。星野が演じる片桐春之介はいつも書庫にこもっている"引きこもり侍"。難関に怖気づきながらも立ち向かう姿はまたもやハマリ役の予感。揺るぎないポジションを獲得しているとも言える星野の演じた役を振り返ってみると?

■初の主演映画でも女子経験なしの独身男を熱演

(C)2013「箱入り息子の恋」製作委員会

今から6年前の2013年に公開された『箱入り息子の恋』で星野源が演じたのは35才にして実家暮らし、貯金とゲームが趣味の潔癖で冴えない市役所勤めの天雫健太郎だ。

黙々と仕事をし、昼休みになると家に帰ってゴハンを食べ、定時に帰るという暮らしを送っていた健太郎の将来を心配した両親の計らいでお見合いし、恋に落ちるのは夏帆演じる全盲の美女、奈穗子。

初めてのキスもメガネがひっかかって失敗するほどの不器用っぷりに見ているほうはドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」同様、ムズキュンするのだが、ダメな自分から卒業しようと奮起する後半の壊れっぷりは迫力満点で引きこもり気味のコミュ障ならではの純粋さと危うさが炸裂している。

なお、大ブームを巻き起こした「逃げ恥」で星野が演じた津崎平匡も彼女いない歴35年。IT企業に勤める自称、独身のプロだったことを思うと『箱入り息子の恋』の無表情な健太郎の演技なしでは生まれなかった役かもしれない。

■『地獄でなぜ悪い』でも巻き込まれる情けない役に

(C)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会

園子温監督のギャングコメディ映画『地獄でなぜ悪い』(2013年)は星野源が主題歌を担当したことでもおなじみ。星野が演じたのは組長の娘(二階堂ふみ)と駆け落ちしてコワモテ軍団に囲まれ、右も左もわからないまま監督として映画を撮影しないとならないハメにおちいる橋本公次役。本作でも運命のイタズラのごとく巻き込まれ、二階堂ふみ演じるミツコに振り回され、オドオドしながらも振り切れるクレイジーさで強烈な印象を残した。

ちなみにこの役で星野源は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞することに。俳優としてブレイクする引き金になった作品といってもいいだろう。

なぜ、そんなに気弱な男子の役がハマってしまうのか? 星野自身、ラジオ番組『オールナイトニッポン』で移動中にも思わずやってしまうゲームの魅力について熱く語ったり、深夜に食べる牛丼が好きだったり(『箱入り息子の恋』の健太郎も牛丼好き)、素顔とかぶる部分もありそうだが、表情だけではなにを考えているのか読みとれない星野自身の雰囲気、"ひょっとしたら想像もつかない闇を隠し持っているのではないか?"と思わせるミステリアスさが"モテない気弱な男子"に扮しても"カッコいいかも"と思わせる幅につながっている気がする。一筋縄ではいかない奥行きがあるから星野源が演じる気弱な男は最強なのかもしれない。

文=山本弘子

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放送情報

箱入り息子の恋
放送日時:2019年8月6日(火)21:00~
地獄でなぜ悪い
放送日時:2019年8月13日(火) 20:30
映画「引っ越し大名!」公開記念特番
放送日時:2019年8月16日(金)18:00~
チャンネル:衛星劇場
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