「変身」や「城」などの名作で知られる、20世紀を代表する偉大な小説家フランツ・カフカ。彼がなぜか現代の東京でパン屋でバイトしながら、あらゆる物事に絶望するコメディドラマ「カフカの東京絶望日記」(全6話)が、1月13日(水)に日テレプラスで一挙放送される。
「マンガで読む絶望名人カフカの人生論」を原案とし、実際に何かにつけて絶望していたというフランツ・カフカがもし現代の東京に住んでいたらというコンセプトでつくられた本作は、YouTubeの無料配信から始まった。その後TVドラマ化され、2020年2月28日(金)からは、選りすぐりのエピソードに新規カットを追加した劇場特別版の公開も予定されている。
物語の舞台は、なぜか2019年の東京。フランツ・カフカは小説で食べていけず、パン(生活)のためにパン屋でアルバイトをしながら執筆活動をする日々を送っていた。彼は自身を「無能、あらゆる点で、しかも完璧に」というほど自虐的で、人々が気にしない些細な物事にも絶望せずにはいられない。
そんなカフカが、SNSにハマって承認欲求が満たされる快感を味わったり、婚活パーティーや地下アイドルのライブに参加したりして、現代ならではの悩みを知り、全力で絶望する姿が描かれていく。
主人公のフランツ・カフカを演じるのは、舞台『刀剣乱舞』シリーズやアニメ・舞台『どろろ』などで知られる鈴木拡樹。2.5次元舞台を中心に活躍して熱狂的な支持を受けており、来年3月上演予定の『リトルショップオブホラーズ』では、本格ミュージカル初挑戦ながら主演(ダブルキャスト)を務めるなど、活躍の幅を広げている。
日本人の鈴木が、実在した100年前の外国人作家を演じるのは至難の業だろう。しかし、神経質で繊細な立ち振る舞いや、何事にも真剣にぶつかって絶望する姿を見ていると、不思議なことにいつの間にか違和感は消えていく。カフカ本人の「一番うまくできるのは倒れたままでいることです」という言葉通り、絶望に打ちのめされて倒れこんでしまう姿も見どころの1つ。そのほか、カフカを虜にしてやると意気込むアパートの大家や、シングルファーザーで女装趣味のパン屋店長など、カフカを取り巻くキャラクターもとにかく個性的だ。
さまざまな物事に打ちのめされては、全力で絶望するカフカ。ネガティブすぎる彼のシュールな言動に笑わされるのはもちろん、承認欲求や女性の生きづらさなど、考えさせられるようなテーマを扱ったエピソードでも、けして後味が悪くないのが本作の大きな魅力だろう。真剣に物事に向き合って絶望するカフカの姿に、前向きな気持ちをもらえるのだ。全6話を視聴し終えたころには、きっと100年前の偉大な作家を身近に感じられるはずだ。
文=中島文華
放送情報
カフカの東京絶望日記
放送日時:2020年1月13日(月)20:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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