スーパースター・西城秀樹が熱演!日本企業の実態を描いた社会派ドラマ

「系列」より
「系列」より

昭和史を彩ってきたスターたちの中でも、ひと際強く輝く1等星として脚光を浴び続けた西城秀樹。2018年5月16日、63歳という早すぎる死から2年。三回忌を迎えた今でも、彼の魅力は色あせるどころか、眩いばかりの光を放ち続けている。

1972年3月に歌手デビューした西城。甘いルックスと情熱を前面に押し出す歌唱スタイルですぐさまスターダムにのし上がると、「情熱の嵐」「傷だらけのローラ」「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」など、数多のヒット曲を世に送り出した。

そして、彼をスーパースターたらしめるのが、当時としては傑出したパフォーマンスだ。長身と鍛え抜かれた体躯を生かした力強いパフォーマンスと観客も巻き込む派手な演出は、それまでのアイドルの常識を塗り替える規格外のもの。日本のミュージックシーンに与えたインパクトは計り知れず、"黒船級"の衝撃をもたらしたパイオニアだった。

その影響力は音楽業界の枠にとどまらない。10年以上にわたってCMキャラクターを務めた「バーモントカレー」(ハウス食品)は、西城が歌うポップなメロディーと「ヒデキ、感激!」のキャッチフレーズで大ヒット。カレーライスが国民食といわれるまでに広く愛されるようになったのも、彼の功績といって差し支えないだろう。

西城秀樹出演の「系列Ⅱ」

(C)NHK

そんな西城をテレビが放っておくはずもなく、生前は歌番組やバラエティー番組で活躍するほか、役者としてもドラマや映画に多数出演してきた。6月7日(日)と14日(日)に衛星劇場で放送される「系列」(1993年NHK総合)、「系列Ⅱ」(1994年NHK総合)では、歌唱スタイルに負けず劣らずの熱い役どころを演じている。

日本独特の系列という企業経営システムに焦点を当て、バブル崩壊で苦境にあえぐ自動車産業が抱える闇を系列企業の視点から切り込んだ社会派ドラマとなる本作。元請けである自動車メーカーと下請けの系列企業との間の策謀や駆け引きがリアルに描写され、企業人として生きる意味やモラルを問いかけている。

西城が演じる浜岡恒男は、下請け系列企業の次男でありながら、社長である父親との確執から袂を分かち、元請け自動車メーカーの社員として対立するという心情が大きく揺れ動く難役。内に秘める家族への強い愛情と元請け企業の思惑が交錯する中で難題に挑む浜岡の姿は、現代の企業人にとっても共感する部分が大きいだろう。また、真に迫る西城の演技は、彼自身がそうした苦悩を人知れず乗り越えてきたのではないかと勘ぐりたくなるほどだ。

今後二度と現れることのない不世出のスーパースターの生き様を、しっかりと目に焼き付けたい。

文=安藤康之

この記事の全ての画像を見る

放送情報

系列
放送日時:2020年6月7日(日)10:30~
系列Ⅱ
放送日時:2020年6月14日(日)10:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物