深田恭子の「はじこい」に通ずる愛され力と、他では見られない表現力

「はじこい」と呼ばれ、話題となった人気ドラマ「初めて恋をした日に読む話」(2019年)で、持ち前の"愛され力"を遺憾なく発揮して思わず応援したくなる主人公を作り上げた深田恭子。

そんな彼女の、役をどこか憎めないキャラクターに変えてしまう魔法のような力が顕現した作品が「セカンドバージン」だ。6月7日(日)よりファミリー劇場で放送される。

同作は、鈴木京香演じるやり手のキャリアウーマン・中村るいと長谷川博己演じるるいの17歳年下で上昇志向の強い既婚男性・鈴木行の切なく危険な大人の恋を描いた物語で、深田は行の妻・万理江を熱演。出版業界では名の知られた辣腕プロデューサーのるいは、とあるワイン会で金融庁のキャリアの行と出会う。自分の夢を熱く語る行に興味を持ったるいは、彼の著書の出版に向けて動き出す。一方、資産家の娘である妻・万理江との退屈な生活に疑問を感じていた行はるいのことが気になっていく。

危険な恋に発展するのを恐れる自分と止めようのない行への恋心の間で葛藤するるいと、万理江との生活に嫌気が差していくのに比例してるいへの思いが強くなっていく行の心の揺れが濃密に描かれていく中、深田は万理江のお嬢様気質のわがままさや世間知らずで浮世離れした様子を好演。

るいとの対照的な女性像を表現することで、行の心の移り変わりに説得力を持たせる一助になっている。

そんな中で、趣味もなく家で独り行の帰りを待つという毎日の中、子供を持つことにある種の救いを求めて行に「子供が欲しい」とせがむ姿は、客観的には行にとって面倒臭い存在であることを表しながらも、万理江の視点から見れば行だけが話し相手で他に拠り所のない彼女なりのSOSにも感じられ、そんな状況も妻として前向きに捉えて出した目標であることが分かる。その姿はけっして反感を買うようなものではなく、むしろかわいらしくもあり応援したくなる。

そんな行にとって面倒臭い存在を愛らしいキャラクターとして見せる表現力は、「はじこい」に通ずる深田の"愛され力"によるものだろう。そしてそれは、るいと行の行いはけっして世間的に許されるものではない"倫に外れた行い"であるということを間接的にクローズアップさせる効果も生み出している。

(C)NHK

万理江は物語の後半でるいと行の関係を知る。隣人で良き相談相手だと思っていたるいと、良き夫で終生寄り添っていてくれると思っていた存在の行の裏切りを知った万理江は、直情的な性格が拍車を掛け猟奇的な行動を取り始める。

この前半と後半で全く異なるキャラクターに変貌してしまう万理江を、深田は見事な演技で説得力を持たせている。口調や顔つきまでが変わり、見ていて思わず背筋が寒くなるほどの変化を見せる一方、その根幹となる考え方や思考回路、周りが見えなくなる性格などはそのままという、かなり難しい芝居を披露。

これは、役の芯の部分をしっかり掴んでいるからこそ、言葉や行動の噴出先を変えることで見せられる変化に他ならない。逆に、そうできなければ全く異なるキャラクターに変化する登場人物を、1人の人物としてつなぎとめることはできないだろう。これは「はじこい」では見られない深田の表現力の豊かさだ。

物語の終盤にかけて、るいと行は泥沼へと堕ちていく。そのきっかけを作った万理江は、2人に復讐することで自分の人生に降りかかったこの災難を乗り越え強い女性へとさらに進化。吹けば飛ぶような若妻だった女性は強風をも物ともしない強い女へと成長し、キャリアウーマンのるいと対等かそれ以上の存在となる。

セカンドバージンを捧げ"死のような快楽"に身を投じたるいの生き様が描かれる中、深田は全10話を通して万理江というか弱い世間知らずな若妻の進化を表す成長物語を見せてくれる。この2人の生き様によって同作で描かれるのは、ただの"不倫愛"ではなく、不倫というツールを軸とした"女性の変革と成長"なのだ。見終った後、なぜ出演者表記で鈴木京香の次が長谷川博己ではなく深田恭子なのかが分かるはずだ。

深田の神髄ともいうべき"愛され力"に加え、他作品では見られない彼女の表現力の豊かさに触れ、女優・深田恭子の"深キョン"クオリティを堪能してほしい。

文=原田健

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放送情報

セカンドバージン 一挙放送【#1-10】
放送日時:2020年6月7日(日)14:50~ #1~6
     2020年6月14日(日)16:30~ #7~10
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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