「エール」鉄男の姿とはまるで正反対!中村蒼が魅せる死に直面する男の色気

現在放送中の連続テレビ小説「エール」(NHK)で、主人公・古山裕一(窪田正孝)の幼なじみである村野鉄男を演じ、注目を浴びている俳優・中村蒼。「エール」では、幼少期からケンカが強く、正義感あふれる性格ながら「古今和歌集」を読みふけり、詩を愛する繊細な一面を持った役どころの鉄男を演じている。大人になっても詩を書く夢をあきらめずに突き進み、裕一を励まし続ける鉄男の生気みなぎる姿に、パワーをもらっている視聴者も多いはずだ。熱く前向きな役柄で全国区のブレイクを果たした中村だが、2018年の主演ドラマ「命売ります」では鉄男とは対極の死に急ぐ男・山田羽仁男に扮し、今とは正反対の顔を見せている。

「命売ります」で「エール」とは対極な役を演じる中村蒼

(c)「命売ります」製作委員会

文豪・三島由紀夫の"隠れた怪作小説"として28万部のベストセラーとなった同名小説を原作とし、2018年にドマラ化したする本作。中村が演じる羽仁男は大手広告代理店に勤め、経歴も収入も何不自由ない生活を送っていた。しかしある日、自分の人生の行く先を悟り発作的に自殺を決行。未遂となるも、これを機に会社を辞めて"命を売る"ビジネスを始めることに。次々に舞い込む依頼に応じていく中で、羽仁男は"命"というものに改めて向き合っていく。

(c)「命売ります」製作委員会

第1話では田中泯演じる岸という男が「妻・るり子(橋本マナミ)と肉体関係を持って、その愛人(大杉連)に見つかって殺されてほしい」と羽仁男に依頼。「死にたい」という気持ちをモチベーションに、るり子を落とそうと行動する羽仁男には、自然と哀愁が漂い独特の色気を放っている。また、激しいベッドシーンで、愛や欲望ではなく「これで死ねる」という動機から羽仁男が見せる恍惚の表情は、つい目が離せなくなってしまうものだ。

(c)「命売ります」製作委員会

その後も第2話で人の生き血をすする病気の女・八重子(酒井若菜)や、第3話の腹黒さを隠し患者にも病院関係者にも人気の女医・愛理(壇蜜)など、依頼を通じて次々に美女と知り合う羽仁男。彼女たちもまた羽仁男の退廃的で甘美な姿に惹かれていくのだが、この羽仁男の雰囲気を体現できたのは、中村自身の持つ色気や目を伏せた時にどことなく感じさせる陰りがあってこそ。原作である三島作品の耽美的な世界観とも非常にマッチしている。物語の中で、自身が「死にたい」はずが、毎度周囲の人の死を目の当たりにするハメになる羽仁男。後半、生と死を考えはじめ「死ぬのが怖い」と徐々に人間味を取り戻していく様子にもぜひ注目してほしい。

(c)「命売ります」製作委員会

前向きに生きる姿を持って"生"を意識させてくれるのが「エール」の鉄男であれば、「命売ります」の羽仁男は死に直面することで逆説的に"生"を考えさせる人物。正反対でありながら、それぞれの役を見事に演じる中村の底力を改めて感じられるはずだ。

文=津金美雪

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放送情報

三島由紀夫「命売ります」
放送日時:2020年11月20日(金)3:00~
チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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