Wキャストを務める永田崇人&小林亮太、互いの印象は?「ずっと共演したい俳優さんだったんです」

韓国芸術総合学校の卒業制作として2017年に生まれたミュージカル『HOPE』。実在する著名作家の遺稿をめぐる実話をモチーフに、イスラエル国立図書館と、有名作家ヨーゼフ・クラインの遺稿の所有をめぐって法廷で戦う老女エヴァ・ホープ、そしてもう一人の主人公で原稿の擬人化である「K」の物語がドラマチックな歌と共に紡がれる。俳優・新納慎也の演出家デビュー作にして、大女優・高橋惠子がミュージカルに初挑戦する、ということでも話題を呼んでいる本作の日本版で「K」をダブルキャストで務めるのは、2.5次元俳優として活躍中の永田崇人と小林亮太。今回、人気沸騰中の二人にインタビューを行い、作品にかける思いなどを聞いた。

ミュージカル『HOPE』でWキャストを務める永田崇人と小林亮太
ミュージカル『HOPE』でWキャストを務める永田崇人と小林亮太

――最初に、ミュージカル『HOPE』との出会いと作品に抱いた第一印象についてお聞かせください。

永田「すごくグッと来る物語だな、と思いましたね。あくまでフィクションなんですけど、なんだかフィクションじゃない気がしてしまうところとか...。もちろん、史実に基づいて、物語が進んでいくというところもあるんですけど、気づいたら『本当にあった話なんじゃないかな...』って思っちゃう、というのがすごいと感じました」

小林「1回目のオーディションの時、新納さんの机の上に『HOPE』と描かれている書類を見て、とりあえずどんな作品なのかをネットで調べた時が、作品との出会いですね。大事なものを一心に守り続けた女性がいて、彼女の過去がいろいろ解き明かされていく中で『最後に彼女が何を選択するのか』という物語が描かれていて、すごく心動かされるものがありました。また、僕は元々、音楽を聞くのが好きなんですが、作中に登場する楽曲で、素敵だなと思う音色が特に多かったので、純粋にこの作品に携われるのが嬉しかったですね」

――ダブルキャストの相手が、お互いだとわかった時の率直なご感想をお聞かせください。

永田「僕はダブルキャストが初めての経験なので、稽古がどのように進んでいくのかも分からないし、正直、不安でいっぱいでしたね(笑)」

小林「僕は崇人君とはそれまでお会いしたことなかったんですけど、ご共演させていただきたい俳優さんだったんです」

永田「本当?」

小林「『ご一緒できるんだ、うれしい』と『いや、崇人君か。めっちゃ怖いな』という。俳優として、すごく試されるだろうし。僕個人としては崇人君といろいろお話したかったし、『仲良くなれたらいいな』と思いつつ、本当に稽古に入るまではめちゃめちゃ怖かったですね(笑)」

――実際にお会いしてのお互いの第一印象は?

永田「この前、新納さんが『俺が思う"K"は、薬用ビューネのCMに登場する"ビューネくん"なんだ』みたいなことをおっしゃっていたんです。それを聞いて、本当に亮太はビューネくんみたいな人だなって思ったんですよね。何を言っても絶対、優しく肯定してくれる強さがあって『どこでこんな強さを得たんだろう?何かあったのかな?』って思うぐらい。本当に(笑)」

小林「嬉しいですね。なかなか現場で観ている作品の話ができる俳優さんとお会いすることがなくって...。そういう話をさせてもらえたりとかして。でも、僕からすると崇人君はまだ不思議な存在で、つかみどころがないなと思っていて(笑)」

永田「そう?めっちゃわかりやすいよ(笑)」

小林「崇人君は僕のことを『ビューネくんみたい』と言ってくれましたけど、僕からすると崇人君はいい意味で少年らしさがあって、そこがお芝居にも反映されていて、すごく素敵だなって思っています」

永田「ね?いいヤツでしょ?これ、どんな人にもやりますからね(笑)」

小林「なんか人たらしみたいじゃないですか!そんなことないですよ!」

――ホープ役の高橋惠子さんとお会いした際の印象、そして、ポスターカットにも起用されている高橋さんを抱きしめるシーンへの意気込みなどをお聞かせください。

永田「僕はポスター撮影の際に初めて高橋さんにお会いして、いきなり1カット目で『抱きしめてください』というオーダーだったんです。でも、そういうことが起きるだろうな、と台本を読んでいて予測していたんですけど、『その場でKのような佇まいでいることができなかったら、ポスターは浮いてしまうな』と思ったんです。本当だったら『うわ!高橋惠子さんだ!』って舞い上がってしまうんですけど、そういう自分は一度捨てて、『この作品で僕はあなたを抱擁します』というモードに切り替えて、素の永田崇人を捨てた感じだったので"自分の中での戦い"といったところでしたね。撮影時に高橋さんが『1年前に女優業を辞めようと思っていたけれど、初のミュージカルにチャレンジすることになって、もう一度やってみようと思った』とおっしゃっていて。その時に、すごく気持ちが高揚したことを覚えています」

小林「僕も『うわ!高橋惠子さんだ!』となりましたけど、崇人君と惠子さんが撮影されているのを目の前で見ていたので、不思議な感じでしたね。自分の所有者が別のものを抱きしめているという状況に対する、何とも言えない感覚に陥りましたけど、その時から惠子さんは温かく接してくださって、寄り添ってくださる方だなというのはずっと実感しています。僕が出演している舞台にも足を運んでくださって。とてもパワフルな方なので、惠子さんに恥ずかしくないお芝居をしなければ、と日々思っています」

――最後に、本作の上演を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。

永田「本作での高橋惠子さんのように、『何かを始めることに遅いことはないよ』といったメッセージなどがたくさん詰まっている作品です。何かに迷っている方には、その背中を押してあげることができるような、見終わった後に小さな幸せを感じることができるミュージカルだと思います。この作品で少しでも皆さんの世界を明るくできるお手伝いができることを願っています」

小林「ぜひ、劇場で僕達と同じ空間で『HOPE』の世界を体験していただいて、皆様が少しでも希望を心に持って帰っていただけるような作品にできるように努めたいと思います」

撮影・文=中村実香

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公演情報

Musical『HOPE』
公演日程:2021年10月1日(水)~17日(日)
下北沢本多劇場にて全20回公演

公式サイト:https://musical-hope.com/

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