広瀬すず野村周平新田真剣佑が競技かるたに熱中!熱くて爽やかなスポーツ青春映画『ちはやふる』

競技かるたに青春を捧げる高校生たちの姿を描いた「ちはやふる」(『ちはやふる-上の句-』)
競技かるたに青春を捧げる高校生たちの姿を描いた「ちはやふる」(『ちはやふる-上の句-』)

■競技かるた界に大きな影響を与えた「ちはやふる」

一般的には伝統文化としての優雅なイメージがありながら、実は「畳の上の格闘技」と称されるほど激しいスポーツである「競技かるた」。長い歴史を持ち、性別を問わず、小学生から高齢者まで幅広く行われているが、どこかマニアックな世界でもあったこの競技かるたを、一気に全国区のメジャーな競技に押し上げた映画作品が、『ちはやふる-上の句-』(2016年)、『ちはやふる-下の句-』(2016年)、『ちはやふる-結び-』(2018年)の三部作である。

原作は末次由紀が2007年12月からBE・LOVEで連載開始した「ちはやふる」。2009年第2回マンガ大賞受賞、2010年「このマンガがすごい!オンナ編」第1位獲得、2011年第35回講談社漫画賞少女部門を受賞し、累計発行部数は2700万部(紙+電子)を突破している超人気コミックで、現在48巻まで刊行、49巻で完結を迎える予定と発表された(講談社プレスリリース情報より)。また、2020年1月には、末次が発起人となり、競技かるたと小倉百人一首のさらなる普及振興を目的とした「一般社団法人ちはやふる基金」が設立されるなど、現実社会の競技かるた界にも大きな影響を及ぼしている。

春、瑞沢高校に入学した綾瀬千早(広瀬すず)は、小学校時代の同級生・真島太一(野村周平)と再会する。千早と太一は小学6年生の時、級友の綿谷新(新田真剣佑)に競技かるたのおもしろさを教えてもらい、一緒にチームを組んでいた。3人は、いつしかかけがえのない仲間となるが、新は家庭の事情で福井に引っ越して、離ればなれに。かるたを続けていれば、きっとまた会えると信じる千早は、太一と共に、瑞沢高校で競技かるた部を創設。同学年の西田優征(矢本悠馬)、大江奏(上白石萌音)、駒野勉(森永悠希)も部員となる。練習に励む5人は、全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会の出場を目指す。

競技かるたに情熱を懸ける、等身大の高校生たちの熱き青春群像劇。友情と恋、汗と涙、青春ドラマのエッセンスが詰まった物語に加え、競技かるたの知られざる奥深い魅力を描いた本作は、少女マンガの枠を超えて、大人や男性の読者からも絶大な人気を博した。

高校生たちの爽やかな青春模様も本作のみどころ(『ちはやふる-上の句-』)
高校生たちの爽やかな青春模様も本作のみどころ(『ちはやふる-上の句-』)

(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

実写映画版『ちはやふる』は、2016年3月に前編『上の句』、同年4月に後編『下の句』と二部作連続で公開。『下の句』の初日舞台挨拶で続編製作のサプライズ発表があり、完結編として『結び』が2018年3月に公開された。監督は『タイヨウのうた』(2006年)、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013年)など、青春ものに定評のある小泉徳宏。映画化当時、すでに30巻を超えていた長編コミックを映画としてまとめるだけでなく、まだまだ連載中の物語を『結び』でしっかり完結させるという難題だらけの脚本を手掛けたのも小泉自身だった。

全国大会に出場するための予選となる東京都大会を描いた『上の句』、競技かるたにおける聖地・近江神宮で行われる全国高等学校かるた選手権大会(別名:かるた甲子園)を描く『下の句』。そして2年後、高校3年生になった千早たちが、最後の全国大会に挑む『結び』。実写映画化にあたっての原作者・末次の要望はたった一つ、「原作よりおもしろいものにしてほしい」というもの。プレッシャーをずっしりと感じつつ、作者の許可を得た小泉は、『下の句』、『結び』と作品が進むにつれて、構成を映画向けに大胆に変更。末次が全体の物語の展開上、原作では選べなかったルートを描ききることで、もう一つのハッピーエンドを提示した。その完成度の高さは、試写を観る前は不安でいっぱいだったという末次が「完璧でした」と感嘆したほどで、原作ファンにとっても、マンガと映画で、2度おいしい!と思える作品に仕上がっている。

■高校生たちの熱いかるた姿を徹底的に映し出す

幼なじみの新に会うべく、千早はかるたクイーンの詩暢と相まみえる(『ちはやふる-下の句-』)
幼なじみの新に会うべく、千早はかるたクイーンの詩暢と相まみえる(『ちはやふる-下の句-』)

(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

恋のゆくえをメインテーマにせず、「かるた映画」として成立させることを目指した本作の最大の見どころは、なんと言っても、ダイナミックな競技かるたの試合シーンである。試合会場に立ち込める独特の緊張感と熱気、かるたの札が目の前にシュッと飛んでくる時のスピード感。小泉監督はキャスト全員にかるたの猛特訓を課し、なかでも主演の広瀬は足と腕に水ぶくれや真っ青なアザを作りながらかるたシーンに臨んだという。滴る汗も気にせずに、畳上のかるたをひしと見つめる彼女たちの透き通った眼差しがすばらしい。

カメラテストやキャストへのかるた指導など、全面的に協力を買って出たのは、末次由紀が本作を描くきっかけとなった担当編集者・冨澤絵美。自身が競技かるたの選手であり、実力は千早と同じA級である彼女の細やかな指導のおかげで、キャストたちの何気ない動作一つ一つにもリアリティのある説得力が生まれた。

さらに、1秒未満の世界を競うかるたのシーンのスピードを捉えるため、1秒で約1000コマを撮影できるハイスピードカメラを使用。スローモーションにした時の札が指に当たる瞬間の感触や重さを臨場感たっぷりに表現した。また、畳の裏側からの視点で、かるたの札や人物の表情が見える斬新な演出は、原作コミックでおなじみのもの。透明のアクリル板で作った台の上に札を置き、その上にキャストが乗って、下から撮影するという方法によって、こだわりのシーンを見事に再現している。

広瀬すずが演じる千早をはじめ、フレッシュさと実力を兼ね備えた若手俳優陣がそろい踏み!(『ちはやふる-結び-』)
広瀬すずが演じる千早をはじめ、フレッシュさと実力を兼ね備えた若手俳優陣がそろい踏み!(『ちはやふる-結び-』)

(C)2018映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

20代半ばの役者が当たり前のように高校生を演じることが多いなか、本作で小泉監督が大切にしたのは、できるだけ高校生に近い、若い年代の役者を起用することだった。まずは、千早役に人気・実力ともにNo.1若手女優の広瀬すず、実写映画版の陰の主役といえる存在の太一役に野村周平、最強のかるたクイーン・若宮詩暢役に実力派若手女優の松岡茉優をキャスティング。

この3人以外の高校生役は、すべて大規模なオーディションを実施し、新役の新田真剣佑(新役を演じたことで、『結び』の撮影中に芸名を新田真剣佑に改名し、出演以降大ブレイクを果たした)をはじめ、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、坂口涼太郎、佐野勇斗、清原果耶、優希美青といったフレッシュな顔ぶれをそろえた。千早の師匠・原田先生役の國村隼、競技かるた部顧問の宮内先生役の松田美由紀、かるた界のレジェンド・周防名人役の賀来賢人による、高校生たちを見守り、背中をそっと押してくれるような温かい演技も見逃せない。

才能を持つ者と持たざる者、それぞれの苦悩にも心をつかまれる(『ちはやふる-結び-』)
才能を持つ者と持たざる者、それぞれの苦悩にも心をつかまれる(『ちはやふる-結び-』)

(C)2018映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

原作では物語の序盤に交わされる、太一と原田先生のやりとりは、映画ではより重みのあるシーンで登場する。千早や新と比べて、特別な才能がないとわかっているのに競技かるたを続ける意味があるのか、と苦悩する太一に、原田先生は言う。「青春ぜんぶ懸けたって強くなれない?まつげくん(原田先生による太一の呼称)、懸けてから言いなさい」。

一人一人、挙げるまでもない、本作公開以降のキャストたちの目覚ましい活躍ぶりは、数年間にわたって、まさに彼ら全員が本作に「青春ぜんぶを懸けた」ことの証だろう。どこかフィクションと現実が混ざり合ったような感じさえ漂う『ちはやふる』三部作は、彼ら自身の成長の物語でもあり、永遠の代表作なのである。

文=石塚圭子

石塚圭子●映画ライター。学生時代からライターの仕事を始め、さまざまな世代の女性誌を中心に執筆。現在は「MOVIE WALKER PRESS」、「シネマトゥデイ」、「FRaU」など、WEBや雑誌でコラム、インタビュー記事を担当。劇場パンフレットの執筆や、新作映画のオフィシャルライターなども務める。映画、本、マンガは日々を元気に生きるためのエネルギー源。

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放送情報

ちはやふる-上の句-
放送日時:2022年4月17日(日)10:10~

ちはやふる-下の句-
放送日時:2022年4月17日(日)12:15~

ちはやふる-結び-
放送日時:2022年4月17日(日)14:10~

チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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