死神と契約を交わした"死神遣い"の末裔が江戸で発生した事件の解決に挑む、2020年公開の映画『死神遣いの事件帖-傀儡夜曲-』。映画と舞台が連動したユニークなプロジェクト"東映ムビ×ステ"の第2弾であり、2.5次元舞台などで活躍し、絶大な支持を受ける鈴木拡樹が主演を務めた話題作だ。2022年6月には最新作である舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』が上演され、冬には映画『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』の公開も予定されている人気シリーズだ。
物語の舞台となるのは、徳川三代将軍・家光の時代。江戸で探偵業を営む久坂幻士郎は、死神・十蘭を使役する代わりに、自分の寿命の一部を差し出す契約を交わした"死神遣い"だった。ある日、そんな幻士郎のもとに、「右目の端に黒子(ほくろ)があり、桐紋の短剣を持っている娘を吉原で探してほしい」という依頼が入る。その手付金を持って賭場に出かけた幻士郎は、吉原遊廓の惣名主を父にもつ侠客のリーダー・庄司新之助と知り合い、彼の紹介で吉原へ足を踏み入れる。だが、吉原では、不可思議な遊女の連続殺人事件が起きていた。事件に死神が関わっていると知った幻士郎は、その解決に乗り出すことに――。
主人公・久坂幻士郎役は、舞台『弱虫ペダル』や舞台『刀剣乱舞』といった数々の人気作に出演し、2.5次元舞台をけん引する存在である鈴木拡樹。近年では映画やミュージカルと活躍の場を広げる彼は、本作で高額報酬に目がくらんだり、イカサマ賭博で騙されてしまったりする少々残念な"死神遣い"を生き生きとコミカルに演じている。舞台『刀剣乱舞』の三日月宗近など浮世離れした役どころの印象も強い鈴木だが、その表現の幅には驚かされるばかりだ。死神の力が宿る刀を手に、舞台で磨き上げた殺陣を披露するシーンも大きな見どころ。特に、普段の頼りない姿から一変して、鬼気迫る表情でスピーディな殺陣を繰り広げるクライマックスは見応えたっぷり。
また、7ORDERのリーダーであり、「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 Rule the Stage」の飴村乱数役などで知られる安井謙太郎が、幻士郎の相棒である死神・十蘭を演じている。安井は、500歳を超える死神でありながら、涙もろい人情家という複雑な役どころを見事に好演。金に目がなくルーズな幻士郎と、相棒兼お目付け役でもある十蘭の抜群のコンビネーションも、本作の魅力の一つだろう。さらに、ミュージカル『刀剣乱舞』の石切丸や舞台『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助を演じた崎山つばさ、乃木坂46で活躍する鈴木絢音らも出演している。
映画の公開後には、物語のその後を描いた舞台「死神遣い遣いの事件帖-鎮魂侠曲-」も続いて上演された。舞台版は、崎山が演じる庄司新之助が主人公となっており、新たな死神も登場する。ぜひ合わせてチェックして、映画と舞台が連動する本プロジェクトを味わい尽くしてほしい。
文=中島文華
放送情報
死神遣いの事件帖-傀儡夜曲-
放送日時:2022年8月2日(火)23:00~
死神遣いの事件帖-鎮魂侠曲-
放送日時:8月3日(水)23:00~
チャンネル:東映チャンネル
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