家に直接訪ねてきた週刊誌の記者(松田翔太)に警察が隠していることを知っていると言われ、思わず応対してしまう貴代美。すぐに家にマスコミが押し寄せ、一登は妻に怒り、明るい陽の光が射し込んでいた家はカーテンで閉ざされ、3人は暗がりの中で生活するようになる。進学校を受けるために塾に通っている雅は陰口を言われ、ネットは誹謗中傷で溢れかえる。どんな形であっても息子に生きていてほしいと願う貴代美の顔は見る見る内に生気を失っていき、「なんで信じてやろうとしないんだ?」「どうして死んでいてもいいと思えるの?」と言い争う夫婦。大事な子供を思う気持ちは一緒なのにすれ違っていき、憔悴していく様を体現する堤と石川の演技が生々しくも切ない。
■息子は被害者なのか?加害者なのか?事件の真相は?
息子を信じる態度を貫く一登には心に引っかかっていた出来事があった。失踪する前に部屋から切り出しナイフを見つけ、取り上げたことがあったからだ。
行方不明になっている少年の1人が身柄を拘束されたと聞いた貴代美はそれが規士だということもわかっていないのにお腹が空いているだろうからとスーパーに買い出しに行く。一方、一登は息子が犯人扱いされたことで、落書きされた家を青空の下、呆然と見つめる。息子は事件の加害者なのか?被害者なのか?「もし、お兄ちゃんが犯人だってことになったら、どうなっちゃうの?」と父に問いかける雅。望みはあるのか?救いはあるのか?まるでノンフィクションのようにズシリとくる作品だ。
文=山本弘子
放送情報
望み
放送日時:2022年9月16日(金)7:50~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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