1人で4役を演じ分ける、犬飼貴丈の演技力に大注目の「仮面ライダービルド」

そして最も注目したいのは、犬飼が戦兎を含め、4人の人物を演じ分けているところだ。

まず、記憶を失う前の戦兎とされる佐藤太郎。ハイテンションなノリノリのロックミュージシャンで、身体をのけぞらせて「夜は焼肉っしょー！」と叫ぶシーンは必見だ。

物語の終盤では、地球外生命体エボルトに身体を乗っ取られた戦兎を演じる。髪の色は白く変わり、狂気に目を剥き、冷酷な空気を漂わせていて、その姿は地球を意のままにしようと企む悪役以外の何者でもない。

もう1人は、悪魔の科学者と呼ばれた葛城巧。外見は戦兎と同じだが、台詞のテンポや声の深みなどが微妙に違い、落ち着いた科学者らしい雰囲気が伝わってくるシーンもある。

複数の人物を演じ分ける犬飼の演技力の高さは、ネットなどでも高評価だった。さらに、突っ走りすぎる熱い青年・万丈龍我を演じる赤楚衛二、東都を戦争に巻き込む冷徹な氷室幻徳を演じる水上剣星らの演技もハマっていて、深みのある物語を盛り上げてくれる。

話数が進むに連れ、物語は3国同士の争いやエボルトとの戦いへと発展していく。その中で、それぞれの想いや目指す未来、戦うことへの苦悩、絆などを、犬飼をはじめとする演技力のある俳優たちが描き出す。

本作は犬飼がブレイクした記念すべき作品であると同時に、平成仮面ライダーシリーズの中でもクオリティの高い作品であり、犬飼ファンのみならず、多くの人にオススメできる作品といえるだろう。

文＝堀慎二郎

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