波瑠間宮祥太朗のコミカルな掛け合いが楽しい「魔法のリノベ」

波瑠はクランクアップのとき「私自身、小梅を演じながらものすごく元気をもらっていました。演じていて、自分なのか小梅なのか分からないことも。アドリブを言ったり、思いっきりふざけたり...こんなに自由にやったことはないなと思いました」(番組公式サイト)と、撮影を振り返っている。NHKの朝ドラも数々のラブコメも経験している彼女だが、これまでにないほど、素に近いリアクションを見せている。間宮も小梅に怒られて「なんということでしょう......」としょんぼりしたり、「やっと僕のターンが回ってきました」と激シブの重低音で決めてみたりと緩急自在に豊かな表情を見せている。

原作は星崎真紀による同名漫画。今ある住まいを大切にし改築するリノベーションという新しいジャンルを描いた作品で、好評を得て連載が現在も続いている。劇団ヨーロッパ企画の上田誠による脚本はテンポが良く、「おっさんずラブ」(2018年テレビ朝日系)シリーズの瑠東東一郎監督による、カット割りが多くギミック満載の演出も軽快。リノベーションがテーマだけにミニチュアがたくさん出てきて、小梅や玄之介の心の声が建物にプロジェクション・マッピングのように映し出される。リノベーションの依頼者たちがリノベという魔法によってその後どんな生活を送っているかを見せるエンディングにもほっこり。「まるふく工務店」の社員たちがRPGファンタジーゲームのキャラのような扮装をするイメージ映像も凝っている。

脇役のキャストも芸達者揃い。中でもインパクトが大きいのは、小梅の元上司・有川部長を演じた原田泰造。部下に対する圧が強すぎて狂気すら感じさせる怪演は必見だ。有川らが勤務する大企業と「まるふく工務店」のような家族経営の会社が、ややステレオタイプながらも比較され、生活に直結する住宅関連の仕事はどうあるべきかが描かれる。ほんわかした雰囲気の中でも、人間の幸福について考えさせられる一作だ。

文=小田慶子

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放送情報

魔法のリノベ(全10話)
放送日時:2023年1月14日(土)14:40~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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