ラグビー選手・田村優が語る、大学ラグビー界への期待

早稲田大学や明治大学などが属する関東大学ラグビー対抗戦グループと、東海大学、流通経済大学らが属するリーグ戦グループが中盤戦に突入。明治大学卒業後、世界レベルのプレーヤーとして活躍を続ける田村優選手にその見どころ、さらには大学ラグビー界への期待を語ってもらった。

大学日本一を決める「全日本大学ラグビーフットボール選手権大会」(大学選手権)の前哨戦ともいえる対抗戦とリーグ戦。昨季の大学選手権では、対抗戦で優勝した明治大学と同2位の早稲田大学が決勝戦で激突した。

現在、大学ラグビー界の中で対抗戦の強さが際立っている。

「僕が在学していた当時はリーグ戦所属の東海大学も強かったものの、伝統的には対抗戦の方がレベルは高いと思います。昨季対抗戦で優勝の明治大学、大学選手権で優勝の早稲田大学はもちろん強い。大学選手権で9連覇の実績を持つ帝京大学は昨季やや印象が薄かったですが、巻き返しに期待しています。この3校の勢いをどのチームが止めるのか見ものです」

「関東大学対抗戦_明治大学_箸本龍雅」

Photo by S.IDA

昨年のラグビーW杯で世界の強豪と互角に戦った田村優選手も、今の大学ラグビーの実力は高くなっていると見ている。

「どの大学も平均的に優れているといいますか、選手層も厚く、全体的なレベルはちょっとずつ上がってきていると思います。僕の学生時代には、当時できる最大限の練習を仲間と一緒にやっていましたが、ラグビー自体が進化していますね。そんなふうにレベルが上がっていると感じる一方、選手やチームの個性はなくなっているように見えます。情報を入手しやすい時代だからこそ、みんな質の高いトレーニングや戦略を共有できる分、差がつかないのかもしれません」

そんな中、一歩抜け出すためには何が必要なのだろうか。

「選手は完全でなく、苦手なことがあってもいいと思うんです。きれいにうまくプレーしようとし過ぎず、自分の特徴を伸ばしてほしい。みんながシェアできるうまさではなく"見えない強さ"みたいなものを身に付けていくことが大事だと思います。大学生はプロのように『活躍できないからクビ!』ということはありません。むしろ大学生はチャンスが多いですし、何かのきっかけで大きく成長する選手もいます。僕が今季の大学ラグビーで注目したい選手は、明治大学のキャプテンになった箸本龍雅くん。体も気持ちも強いんじゃないかな。やんちゃそうなところがいいですよ。みんなが横並びになっている中、そういう特徴のある選手やチームが伸びていくと思います」

たむら・ゆう●'89年1月9日生まれ、愛知県出身。明治大学OB。ポジションは"司令塔"ことスタンドオフで、昨年のW杯でも日本代表をけん引。トップリーグのキヤノンイーグルス所属。

文=大小田真

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放送情報

ラグビー 関東大学対抗戦2020 「明治大学×慶應義塾大学」
放送日時:2020年11月1日(日)13:50~
チャンネル:J SPORTS 1 他
ラグビー 関東大学リーグ戦2020 「大東文化大学×東海大学」
放送日時:2020年11月15日(日)14:20~
チャンネル:J SPORTS 4 他
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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