コロナ禍で多くの国際大会が中止となり、異例の対応が相次いだフィギュアスケート界。それでもシーズン終盤には、2年ぶりに「ISU世界フィギュアスケート選手権2021」がスウェーデン・ストックホルムにて無事開催され、日本勢は約1年後に控えた北京五輪の出場枠を男女ともに前回大会に引き続き3つキープ。アイスダンスやペアでもしっかりと出場枠を確保した。
そんな2020-21シーズンにおいて最後の国際大会となったのが、4月15日~18日に丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催された「世界フィギュアスケート 国別対抗戦2021」だ。この大会の模様が、【完全版】として4月29日(木)からテレ朝チャンネル2にて放送される。
「国別対抗戦」とは、国際スケート連盟(ISU)が主催する唯一のフィギュアスケート団体戦として2009年より始まった2年に1度の大舞台。男子シングル2名、女子シングル2名、ペア1組、アイスダンス1組が各国から参加し、それぞれの種目において順位の上位から多くのポイントが割れ当てられ、4種目の合計点数が最終的な順位となるというものだ。
世界の強豪6ヶ国で競われるが、日本は第1回大会から全大会で表彰台に上がり、前回は羽生結弦を欠くなか宇野昌磨、紀平梨花らの活躍により銀メダルを獲得。さらに2012年大会と2017年大会では頂点に立つなど、これまで輝かしい成績を残してきた。
今大会ではアメリカ・ロシア・イタリア・フランス・カナダの代表選手と激突することになった日本チームだが、男子シングルの羽生、宇野、女子シングルの紀平、坂本花織に加え、三浦璃来・木原龍一(ペア)、小松原美里・小松原尊(アイスダンス)が出場を果たした。
五輪のプレシーズンに、正式種目である団体戦を実戦として経験できる貴重な機会であり、コロナ禍での国際試合という点でもこれまで以上に重要な意味を持つこととなった今大会。無敗記録を更新し続ける絶対王者ネイサン・チェンや、アンナ・シェルバコワ、エリザベータ・トゥクタミシェワの最強ロシア女子勢ら、3月の世界選手権を沸かしたトップスケーターが圧巻の演技を披露する中で、日本勢は7大会連続の表彰台入りを果たし、銅メダルを獲得した。
コロナ対策により来場者は半数に絞られ、歓声が禁じられた今大会だが、そんな中でも、ひと際熱い視線が注がれていたのが日本のエース、羽生選手の演技だろう。「Let Me Entertain You」でロックスターになりきったショートプログラム(SP)や、勇壮なテーマを掲げた「天と地と」のフリースケーティング(FS)ともに、今シーズンの自己ベストを更新する演技は会場中を魅了。何より、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」を選曲したエキシビションでの、一輪の花を抱きしめるように舞い踊る情感あふれる演技は圧巻だった。
今大会では終始「何かの光になりたい」というメッセージを送り続けていた羽生選手だが、全身全霊の演技後に、スタンディングオベーションの拍手が鳴り響き、会場との一体感が生まれていたのが印象的だった。
また、自己ベストの滑りを見せたという意味でも存在感を発揮していたのが、女子シングルで2位に入った坂本選手。自身の個性を最大限に活かすFSの楽曲「マトリックス」でのキレのある演技は、他の女子選手を圧倒する力強さだった。ほかにも、ペアの三浦&木原、アイスダンスの小松原夫妻共に自己ベストを更新する大健闘ぶりで、"チーム日本"が一丸となった様子は、来季への手応えを十分に感じさせる内容だったといえるだろう。
今回の【完全版】のオンエアは、全選手・全競技を会場音で放送するとなっており、"チーム日本"の雰囲気もじっくり見ることができるのも嬉しいところ。団体戦でなければ見られない賑やかな"キス・アンド・クライ"はもちろん、「We Are The World」の音楽に乗せて披露したエキシビションの"チーム演技"でのビッグサプライズなど、改めてチェックしたい見どころも満載。「国別対抗戦」という戦いではあるが、コロナ禍の今だからこそ心に響く感動的な演技の数々を、改めてこの目に焼き付けたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
世界フィギュアスケート 国別対抗戦2021【完全版】
放送日時:2021年4月29日(木)7:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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