12月9日(木)~12日(日)に開催を控える、フィギュアスケートグランプリ(以下、GP)ファイナル。冬季五輪、世界選手権に並ぶフィギュアスケート"3大大会"の一つである同大会への出場権を巡って、10月22日に開幕したGPシリーズ第1戦・アメリカ大会より、世界6ヶ国で熱戦が繰り広げられている。
前年度の成績などから選出されたトップスケーターたちが出場するGPシリーズは、各選手最大2大会まで出場可能で、その上位6選手のみがファイナルへ進出する。北京五輪シーズンの中、例年以上に注目が集まっているが、今季は初戦から予想しえなかったトピックが続出している。
■ネイサン・チェンの連戦ストップ、羽生結弦、紀平梨花の欠場と波乱含みのGPシリーズ
初戦となったアメリカ大会では、GPシリーズ3連覇中のネイサン・チェン選手が3位となり連勝がストップ。その1週間後に行われた第2戦・カナダ大会では、300点超えという高スコアで早くも表彰台に返り咲き、GPファイナル出場を確実としたものの、連戦連勝だった絶対王者の敗戦には、世界中が衝撃を受けたことだろう。
また、羽生結弦選手が右足首の負傷により、直前で第4戦・日本大会(NHK杯)、第6戦・ロシア大会の出場を断念。昨年も新型コロナウイルスの影響で不参加、かつ北京五輪直前の国際大会だっただけに、本人も悔しさをにじませるコメントを発表した。また、全日本選手権2連覇の紀平梨花選手も同じく怪我で出場を果たせず、日本の両エースが欠場という波乱含みの中で開幕。それでも、昨年とは違い有観客で行われた今季のGPシリーズは、拍手が響き渡るリンクを舞台に、心に残る名演技が多数誕生している。
■復活を遂げた宇野昌磨、大逆転優勝を決めた鍵山優真ら、日本男子勢が躍進!
羽生不在となった日本男子勢だが、2位に入ったアメリカ大会に続き、自己最高得点で3年振りにNHK杯を制した宇野昌磨選手が、五輪に向けて復活ぶりを強くアピール。GPファイナル出場を確定させると、「ようやく世界のトップで闘えるようになった現状にうぬぼれず、もっともっと上を目指して走り続けたい」とコメントした。4種5本の4回転ジャンプで構成される高難易度のプログラムに挑んだGPシリーズについても、結果だけに満足することなく先を見据える。
また、シニアデビューした昨季、大躍進を見せた鍵山優真選手は、第3戦・イタリア大会でSPを7位で発進するも、フリーでは過去最大の点差を巻き返す大逆転優勝を決めた。2戦目となるフランス大会では重圧を跳ね除け優勝。男子唯一の2戦優勝でファイナルの切符を手にした18歳の新鋭は、シニア2年目の壁をいかに跳ね除けていくのか。こちらも北京五輪に向けて、期待の高まる材料が揃ってきた。
■五輪メダル候補のロシアの新鋭や、坂本花織ら、ハイレベルな女子シングルの闘い
女子シングルでは、ロシアの新星カミラ・ワリエワがシニアデビュー戦となるカナダ大会で、世界最高得点265.08点を叩き出し優勝。昨年、GPファイナル表彰台を独占したロシア勢だが、当時驚異の3人娘と言われたアリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワの成績をも上回る、衝撃的なハイスコアには目を見張るばかり。北京五輪メダル最有力候補として、今最も注目を集めているワリエワの、ロシア大会での闘いぶりにも期待が高まる。
また、アメリカ大会を4位でスタートした坂本花織は、NHK杯では持ち前のスピード感とダイナミックなジャンプで質の高いプログラムを安定して滑りきり2連覇を達成。同時に、GPファイナル出場も決めた坂本は、女子も4回転時代となった今だからこそ、自分らしさを生かした完成度の高い演技でロシア勢に挑む。
今季のGPファイナルは、来年2月に北京五輪を控えた4年に一度の五輪シーズンになるため、その後に控える全日本選手権と共に、"北京五輪日本代表選考対象大会"と位置付けられている。北京五輪出場の切符を争うスケーターたちの戦いは、ますます熱く盛り上がっていく。特別なこの冬、この先の熱戦からも目が離せない。
文=中川菜都美
放送情報
フィギュアスケートグランプリシリーズ2021
第1戦アメリカ大会
放送日時:2021年12月1日(水)7:00~
第2戦カナダ大会
放送日時:2021年12月8日(水)7:00~
第3戦カナダ大会
放送日時:2021年12月15日(水)7:00~
第5戦フランス大会
放送日時:2021年12月22日(水)7:00~
第6戦ロシア大会
放送日時:2022年1月4日(火)7:00~
グランプリファイナル
放送日時:2022年1月13日(木)7:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら