――トランプ前大統領、あるいはハリス副大統領が当選した場合、アメリカにもたらされる影響はどのようなものになるでしょうか
「トランプ前大統領の勝利が起こしうる影響はあらゆる面で甚大です。減税や貿易関税など、彼の経済政策は、現政権のアプローチとはまったく異なります。外交政策についても決定的な違いがあります。彼は自分に対する刑事事件の終結を命じるでしょう。また彼は、不誠実とみなした官僚を解雇することも約束しています。 トランプ前大統領の復帰を望まない有権者にとっては、政策の問題以前に衝撃となるでしょう。ハリス副大統領が勝利した場合、その歴史的な意味合いから、オバマ前大統領再選時のように政策を熟慮する期間が訪れるでしょう。しかしながら、当時と現在は大きく異なります。トランプ前大統領はハリス副大統領の勝利の公正性と正当性に異議を唱える可能性が高く、再び2020年のような分裂と不安を生む可能性があります。ハリス副大統領は現行のバイデン大統領の政策に賛同しているため、政策の転換は微妙なものになるでしょう。しかし、投票権や女性の権利についてはハリス副大統領の優先的政策事項となるでしょう」
――大統領選挙の結果によって、アメリカが世界に与える影響についてどう思われますか?特に日本にはどのような影響が予想されると思われますか?
「トランプ前大統領が勝利した場合、NATO、EU、ウクライナへの支持は疑問視されるでしょう。一方、ハリス副大統領の場合はこれらの面は比較的には継続されるでしょう。中国に圧力をかけるバイデン大統領のアプローチは、経済・安全保障問題で日韓と協調して取り組む努力を含め、ハリス副大統領の下でも継続されるでしょう。トランプ前大統領は、アジアに関しては不確定要素となるでしょう。彼は、習近平国家主席や金正恩総書記との1対1の関係性は有効なものであった考えています。日本を含む米国の長年の同盟諸国は、トランプ前大統領の政策下ではしばしば不意を突かれたように感じてきました。簡単に言うと、『比較的安定した関係性』か『予測不能な関係性』の違いでしょう。特に日本に関しては、ハリス副大統領はバイデン大統領のアプローチを引き継ぐことになるでしょう。バイデン大統領は、日本は経済や安全保障の面において重要なパートナーであり、意見の相違が避けられない場合は慎重かつ丁寧に対処すべきという、数十年にわたる二党共通の合意を踏襲してきました。安倍元首相が経験したように、トランプ前大統領のアプローチは予測不能です。安倍元首相はゴルフとトランプ前大統領のやり方に合わせることが、安定的で深い関係性をもたらすと期待し、それは時にうまく行きましたが、何度も不意を突かれ失望させられていました」
――ジャーナリストとして数々の大統領選挙を取材した経験を通して、選挙を取材する上で核となる重要な信念は何だと思われますか?
「メディアという観点では信頼と公正さが常に重要ですが、我々メディア業界と選挙システムが絶えず攻撃されている今、なおさらその重要性が高まっています。米国はあらゆる面で広大で多様な国であり、様々な信念を持つ有権者が、不安定な時代がゆえに不安と不確実さを抱えています。事実と敬意をもって有権者の疑問を探ることは、候補者と彼らの政策を取材することと同様に重要だと考えています」
文=HOMINIS編集部
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