大山康晴十五世名人の持つ大記録の一つが、タイトル戦連続登場記録の50回だ。これはタイトルを失っても次の期には必ず挑戦者になっていたことを意味し、第2位の羽生が23回であるため、いかに飛び抜けていたかが分かる。止まったのは第11期棋聖戦で、決勝トーナメント準決勝で中原誠五段(当時)に敗れた。次代の覇者である中原誠十六世名人との記念すべき初手合で、10年以上にわたってタイトル戦の番勝負に出続けていた記録がストップ。久しぶりにタイトル戦に出られないことになり、当時の大山は残念がっていたそうだ。
百番指しを達成するようなライバル同士は、互いに敗れてもリターンマッチになることも多く、それが対局数を伸ばす要因だ。平成では羽生善治─森内俊之の名人戦は敗れた方が次の順位戦を勝ち抜き、挑戦者になることが多かった。藤井と伊藤も羽生と森内同様に同学年であり、このようなライバル関係が期待される。
叡王戦の本戦は16人によるトーナメント。4連勝すれば挑戦者となる。もちろん負けたら終わりの一発トーナメントであり、藤井の実力を以てしても簡単なことではない。間もなく予選が終了してトーナメントの組み合わせが決まるが、果たして伊藤の初防衛の相手はどうなるだろうか。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
(将棋)第32期 銀河戦 決勝トーナメント 1回戦 第8局 伊藤 匠叡王 vs 豊島将之九段
放送日時:11月28日(木)21:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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