映画コメンテーター・有村昆が選ぶ、ポン・ジュノ監督映画3選

韓国映画界を代表する監督として注目され続けていたポン・ジュノが今年のオスカーで4冠に輝いた。キャリア初期から変わらない彼の作品の魅力は何なのか、オススメ作品と共に有村さんが解説する。

興行的にも批評的にも大成功を収めたポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」。現時点での代表作として、有村さんもこの作品をイチオシする。

「"無冠の帝王"といわれていたポン・ジュノも世界に認められる存在になりました。ただ、彼の作品は言葉で説明するのが難しいんです。基本的には韓国社会が抱える闇みたいなものをオリジナル脚本で描いてきたわけですが、見終わった後に何とも言えない気持ちになる(笑)。『パラサイト―』では寄生する側とされる側、両極端な家族が描かれます。違った環境に身を置く人たちが、それぞれ"正しいこと"をやっているつもりなのに、どんどんズレていくというコメディーであり、悪役のいない悲しいサスペンスでもある。最終的には止めることができない明確な貧富の差という問題が突き付けられる...この着地が見事です」

『母なる証明』より

(c)2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

韓国で大ヒットを記録した「母なる証明」を、有村さんは「かなり実験的な映画」と語る。

「これもヘンな映画ですよ。まず、主人公がおばさんというのがすごい(笑)。そのおばさんは殺人事件の容疑者にされた息子の無実を証明しようと奮闘する母親なんですが、最初は母親の犯人探しの物語として展開します。なるほど何があってもわが子を信じる母親の美談なのか、と思いきや予想できない方向に話が進んでいく。もちろんサスペンスとしても緊張感があるんですが、この母親の"揺らぎ"の物語として求心力が素晴らしいんです。息子のために人生を捧げてきた母親は何者なのか、"性"も含めた"生"の目覚めなのか...そんな見方もできる作品です」

『殺人の追憶』より

(c) 2003 CJ Entertainment Inc&Sidus Corporation

「殺人の追憶」は後に傑作が数多く誕生した韓国サスペンス映画のお手本になった一本だ。

「これは殺人事件を描く映画ですが、その真相を追う2人の刑事が主人公です。性格が真反対で反目していた2人が事件の本質に迫っていくうちに、だんだんと立ち位置が変わる泥くさい人間模様が面白い。ポン・ジュノ作品は"ジェットコースタームービー"という紹介のされ方をしますが、伏線と回収の緩急が絶妙で、物語がどこに着地するのか分からないからなんですよね。それは'03年の『殺人の追憶』の時点で完成されていて、手法は大きく変わっていない。過去作をあまり見たことがない人はイッキ見して、ぜひこのブレなさに気づいてほしいです」

ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。

聞き手=山崎ヒロト(Heatin' System)

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放送情報

パラサイト 半地下の家族
放送日時:2020年11月7日(土)21:00~ ほか
母なる証明
放送日時:2020年11月7日(土)14:00~ ほか
殺人の追憶
放送日時:2020年11月7日(土)11:45~ ほか
チャンネル:WOWOWシネマ ほか
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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