SKE48・高柳明音の卒業後が楽しみになる！出演映画で見せたレベルの高い芝居

2019年10月、SKE48卒業を発表した高柳明音。高柳はSKE48の第2期生として加入後、11年にわたってSKE48を支え続けてきた功労者の一人で、2010年から約4年間SKE48チームKⅡのリーダーを務めるなどメンバーからの信頼も厚く、"お姉さん的存在"としてグループを引っ張ってきた。

2ndシングル「青空片想い」以降、全てのシングルに選抜メンバーとして参加するもセンターポジションには立っておらず、グループを常に力強く支える"縁の下の力持ち"であり続けた彼女は、時に自分を犠牲にしながらグループのため、チームのために活動してきた。

中でも、2011年に行われた「AKB48 22ndシングル選抜総選挙」で23位に輝いた際、ステージ上からプロデューサーの秋元康氏に向かって「チームKⅡのみんなとチームKⅡを応援してくださっているファンの皆さんの言葉を代弁して言わせてください。私たちに公演をやらせてください！」と直談判したのは、彼女の"チーム愛"が表れた最たるものだろう。

そんな彼女だが、アイドルとしての能力は高く、"グループの顔"を担うメンバーにもけっして引けを取らない実力の持ち主。AKB48グループの中でもひと際ダンススキルの高さが要求されるSKE48で選抜メンバーに選ばれ続けていることでも証明されるダンススキルの高さに加え、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」では第1回、第2回ともに決勝大会に出場するほどの歌唱力を持ち、テレビやラジオでMCを務めるほどのトーク力や雑誌で連載を持った経験のある文才など、多彩な才能を備えたオールラウンドプレーヤーなのだ。

さらにその能力はアイドルとしてだけでなく女優としての活動にも及んでいる。数多くのドラマ、映画、舞台に出演しており、ディズニーアニメ「リメンバー・ミー」(2018年)では日本語版声優として活躍。そんな彼女の女優としての活動は、いつもグループのことを念頭に置いている「SKE48の高柳明音」ではなく、「高柳明音」個人としての才能が見られるバリュアブルな場所といえる。

そんな価値ある彼女の女優活動の中で、注目すべきは映画「ONLY SILVER FISH」(2018年)だ。同作品は、舞台「戦国BASARA」シリーズなどを手掛けた演出家・西田大輔がメガホンを取って製作したもので、あるゲームに参加した男女がやがてゲームが開かれた真意を知るさまを描いたサスペンスミステリー。7月12日(日)に衛星劇場で放送される。

勝ち残った1人に与えられる「過去を振り返ることができる権利」を求めて集まったメンバーは、「一斉に指をさして脱落者を決める」というゲームを通して、人間の汚い部分をさらけだして心理戦を繰り広げていく。この難易度の高い芝居を求められる作品の中で、高柳は舞台を主戦場に活躍する出演者たちに肩を並べて "チョーカーの女"を熱演。

ネタバレのため詳細は避けるが、劇中での高柳はまさしく「SKE48の高柳明音」ではなく、一人の女優「高柳明音」として存在している。アイドル的な雰囲気はなく周りの役者に溶け込んでおり、ファンが見ても一瞬「高柳ではないのでは」と思ってしまうほど。中でも、注目してもらいたいのが、全体が映るカットでの演技だ。動きやせりふの掛け合いなど、他の俳優たちと同様のレベルの高い芝居を披露。同作のようなテイストの作品は一瞬の遅れも許されない高次元の芝居なくしては成立しないもので、一人でも芝居のレベルが違うと作品のクオリティーを損なってしまう恐れがある。そんな中で見劣りしない芝居を見せてくれる高柳はやはり才能あふれる人物なのだと確信させてくれる。

新型コロナウイルス感染症の影響で卒業が延期となっている彼女だが、卒業後はどんな場所でどのような活躍を見せてくれるのだろう。思わず楽しみになってしまう彼女の才能を、全く新しい作品世界を構築した同作で堪能していただきたい。

文＝原田健

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