トップアイドル・山本彩がステージで見せる「アーティスト」の顔

アイドルグループ「NMB48」のメンバーでキャプテンも務める、「さや姉」の愛称で親しまれている山本彩。昨年の大晦日に放送された『第67回NHK紅白歌合戦』では、AKB48グループ国内全メンバー300人以上の中からこのステージに立つメンバーを選ぶ「夢の紅白選抜」で最多得票数を獲得し、センターを務めた。まさに「48グループ」を代表するメンバーであり、トップアイドルの一人である。そんな彼女が昨年、ソロアルバムを発表。ライブツアーも行い、アイドルとして活動するときとはまた違った一面を見せた。

ソロアルバムは亀田誠治がプロデュース

山本はアイドルになってからもシンガーソングライターになることが夢だと公言している。そんな中、昨年8月24日深夜に放送されたラジオ番組内でソロデビューが決定したことを自ら報告し、10月26日に念願のソロアルバム『Rainbow』をリリース。サウンドプロデューサーにスピッツ、いきものがかり、GLAYなども手がけるヒットメイカーの亀田誠治を迎え、GLAYのTAKUROが作詞作曲を手掛けた「BAD DAYS」、スガ シカオによる「メロディ」のほか、いしわたり淳治が作詞した「ヒトコト」（作曲は百田留衣）、「愛のバトン」（作曲は蔦谷好位置）など、音楽ファンならよく知る豪華作家陣が参加し、音楽的にクオリティが高い作品を作り上げた。

亀田は「山本彩というボーカリストに自分の曲をどう歌わせたいかというのを、全員が全力でぶつけてきていると思う」と言っていたが、山本のアーティスト、ボーカリストとしての魅力と可能性に惹かれたからだろう。TAKUROは提供楽曲を作曲した際に使用したレスポール（エレキギター）をメッセージ付きで山本に贈っている（今年5月15日、山本のInstagramに写真がアップされた）。そしてさらに注目したいのは、全13曲中6曲の作詞、7曲の作曲を山本自身が手掛けていることだ。

「アルバム『Rainbow』の楽曲は、作っている時の自分のテンションが憑依した曲ばかりです。マイナーな曲は気持ちが落ちてる時に書いたものだったり、逆にアップテンポな曲は前向きな気持ちの時に出来たものだったりします」という本人の言葉のとおり、まだアルバムのリリースが何も決まってない時から作りためていたという曲たちは、山本のいろんな感情や表情を見せてくれている。

凄腕ミュージシャンと共に完全燃焼した初のソロツアー

山本はアルバム『Rainbow』を引っさげ、昨年11月に名古屋、東京、札幌、大阪の4都市を回るライブツアー『山本彩LIVETOUR 2016〜Rainbow〜』を開催した。バンドメンバーは小名川高弘（キーボード＆ギター）、草刈浩司（ギター）、WEAVERの奥野翔太（ベース）、FUZZY CONTROLのSATOKO（ドラム）、Ayasa（バイオリン）という、亀田が声をかけて集まった凄腕揃い。アコースティックギターを弾きながら歌ったオープニング曲「ヒトコト」、エレキギターに持ち替えて披露した「レインボーローズ」と、序盤から「アイドルの山本彩」とは違う一面を見せる。その後もアルバムの楽曲を軸にしたセットリストで、気持ちよさそうにギターを弾いたり、曲によってはハンドマイクでパワフルな歌声を聴かせたり、その動きと表情からはソロアーティストとしての本気度の高さが伝わってきた。終盤にはファンにおなじみの曲だが、バンドアレンジによって新鮮に聞こえた「僕らのユリイカ」（NMB48の7枚目のシングル曲）や、AKB48の「365日の紙飛行機」も歌い、「アイドル」としてのサービス精神も発揮。

「普段はNMB48というグループでアイドルとして活動していますが、ソロのライブでの顔はNMB48の時には見られない顔だと思うんです。でも、NMB48の曲も歌わせてもらったので、ここでしか見られない私の二面性みたいなものも感じてもらえるんじゃないかなって思います。それと、がっつりバンド編成でのライブなので、生の音の魅力ももっともっとたくさん知ってもらえたらうれしいですね」（山本）

アイドル活動で培った「魅せる」ステージパフォーマンス、そしてアーティストとして見せた音楽への愛情と熱量、その両方が体感できた。ソロ活動はまだ始まったばかりだが、曲名にある「レインボーローズ」の花言葉のように「無限の可能性」が感じられたライブとなった。

そんなライブの模様がBSスカパー！にて放送される。「アイドル山本彩」を知ってる人は多いだろうが、それとは違った魅力を見せる「アーティスト山本彩」を、また4K対応機器を持っていればその場にいるような臨場感を味わいながら、ぜひこの機会に確認してみてほしい。

Writer：田中隆信

※この記事はヨムミル！ONLINEの転載になります。

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