美空ひばりの「生涯最高のステージ」から見る、歌謡界の女王たる姿

圧巻のパフォーマンスを披露する美空ひばり
圧巻のパフォーマンスを披露する美空ひばり

(C)ひばりプロダクション

1970年代以降、幅広いジャンルの楽曲を自らのスタイルに落とし込んで発表するほか、当時の話題のアーティストやクリエイターとも積極的にコラボレーションすることで、常に新しい"美空ひばり"を披露し続けている。生涯最後のシングルとなった「川の流れのように」を当時30歳の秋元康と組んで制作するなど、年齢や経歴にとらわれずに他者の才能を認めらえる感覚こそ「歌謡界の女王」で在り続けた要因の一つでもあるだろう。

そして、それらの新進気鋭のクリエイターとの競演を繰り返すたびに、歌も進化している。振り返ってみると、伸びやかで耳ざわりの良い歌声はそのままに、こぶしやしゃくり、抑揚といった歌い方が活動時期によって変わっているのだ。同じ曲でも、今その瞬間の時代に合わせた新しい"美空ひばり"で聴かせるからこそ、常に色褪せずに聴衆の心を揺さぶり続けることができたのだろう。

加えて、彼女は歌手でありながら映画会社の"看板"銀幕スターという女優の一面もある。「美空ひばり」と冠すれば大ヒットといわれるほどの人気女優で一時代を築いており、客への"見せ方"にも長じている。

(C)ひばりプロダクション

この"歌唱力"と"見せ方"が掛け合わされることで、力強くありながらも繊細で、圧倒的な世界観で客を虜にする唯一無二のライブが出来上がっているといえる。数あるライブの中でも、1981年に行われた「芸能生活35周年記念リサイタル 武道館ライヴ」はファンの間でも「ひばりの生涯最高のステージ」と称賛されるほどのライブで、円熟したステージングが観られる。しかも、昼夜2回公演50曲、計100曲を歌い上げるという、にわかには信じがたいパフォーマンスを見せており、常人ではないことを痛感させられる。

気力、体力共に最も充実していた時期の貴重なライブで、進化中の「歌謡界の女王」の圧倒的な迫力を感じてみてほしい。

文=原田健

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放送情報【スカパー!】

美空ひばりコンサート「芸能生活35周年記念リサイタル 武道館ライヴ」
放送日時:2024年1月4日(木)18:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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