一方、「Miho Nakayama Concert Tour '96 Sound of Lip」は、全国32公演となるライブツアー。「MIHO Catch '88」から8年が経ち、トップアイドルとして駆け抜けた少女が"アーティスト"として確かな成熟を遂げた姿を見せる。

この年にリリースした18枚目のアルバム「Deep Lip French」を携え、より一層のオーラと艶やかさ、そして上品な余裕をまとった中山が"お芝居"をするようにステージに登場すると会場は大歓声。オープニングナンバー「ライカスタ」から始まり、年齢を重ねたことで増した表情の深みや豊かな歌声で魅了していく。

その後シングルとしてリリースされた「True Romance」では、かつての透明感を残しながらも大人の憂いを帯びた歌唱に誰もがうっとりと聴き入る。さらに、90年代を代表するヒットナンバー「遠い街のどこかで...」「世界中の誰よりきっと」では場内が一気に熱を帯び、彼女の持つ"歌声の華"に改めて酔わされる時間に...。

生バンドの臨場感あふれるサウンドと共に盛り上げる「Sea Paradise －OLの反乱－」、弾ける笑顔やおちゃめな表情も見せた「ヨッシャ!」でも、彼女の音楽性の広さが鮮明に浮かび上がる。どのシーンを切り取っても感嘆のため息が漏れる美しさに加え、当時の彼女が新たに手にした"表現者としての自由さ"が生き生きと感じられるステージだ。

中山美穂というアーティストは、まさに"永遠の輝き"。その理由を、彼女の圧倒的な存在感とステージングで堪能できる特集だ。

文＝川倉由起子