ジュンギには、演じる人物の一代記のような壮大なスケールの大作ドラマがよく似合う。「ヴィンチェンツォ」では冷酷な凄腕弁護士の顔とコミカルなキャラクターを絶妙に使い分け、「財閥の末息子」では忠実な従業員と復讐者の二面性を鮮明に打ち出した。コミカルからダークまで振り幅自在の演技力が、人間が抱く複雑な感情を矛盾することなく、まざまざと映し出していく。
この「ロ・ギワン」も、ジュンギでしか体現できない説得力に満ち溢れている。人生の瀬戸際で踏ん張る人間の凄みが、体中から発散されているようで、まさに"全て"を懸けた壮大なロマンスに切実なリアリティが感じられる。ギワンの地獄のような人生に希望の光が差し込むラストまで、ぜひ見届けてほしい。
文=酒寄美智子
<配信情報>【Netflix】
Netflix映画「ロ・ギワン」独占配信中
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