主人公は、酒造りの才能に秀でた男・百里東君(ホウ・ミンハオ)。武芸や文学には関心を払わない百里東君は一見すると気楽な道楽者のようだが、その正体は鎮西候府の小公子。酒造りに没頭しているのも、幼なじみで親友の葉雲(ホー・ユー)と誓った"約束"を果たすためという、2面性のあるキャラクターだ。

ところが葉雲が陰謀により一族ごと流罪になり、2人は別離れてしまうことに...。それから月日が流れ、百里東君は葉雲によく似た葉鼎之と巡り合う。武芸の達人である彼と剣を交え、交流するうちに、百里東君の内に秘めていた武芸の才能が目覚めていく。

韓国の大手事務所・SM ENTERTAINMENTの元練習生という異色のキャリアを持つ主演のホウ・ミンハオは、中国でアイドルデビューした後、俳優としてもその才能を開花。

東野圭吾の小説を原作にした中国映画「嫌疑人Ｘ的献身(容疑者Ｘの献身)」(2017年)で注目を集めると、"天下一の君子"と名高いイケメン貴公子に扮した「夢織姫(ゆめおりひめ)～秘密の貴公子に恋をして～」(2020年)で"時代劇美男"ぶりを印象付けた。チャーミングな猫系ビジュアルがファンタジックな世界観に溶け込み、キレのいいアクションシーンも見ごたえ十分。古装劇における"主役"として必要不可欠なスター性を存分に発揮している。

そんなミンハオの"華やかさ"が活かされた百里東君は、カリスマ性もたっぷり。彼が秘められた才能を解放した時の舞は、見る者を圧倒する。

やがて百里東君は、何者かによって利用され、道を誤った葉鼎之との避けられない戦いへと突入していく。その姿には、いつの間にかかけがえのない存在になっていた葉鼎之への思いと、そんな彼に刃を向けなければならない苦しみが交錯。その葛藤が、美しいブロマンスへと昇華されている。

さらに、あのシャオ・ジャンも所属していたアイドルグループ・Ｘ玖少年団(X-NINE)出身で、「致命遊戯」(2024年)で注目を集めたシア・ジーグアン演じる相棒・司空長風との固い絆も...。百里東君を中心とした"選ばれし者たち"の熱い友情と青春に心揺さぶられること必至だ。