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一方で、物語が進むにつれてチョン博士の印象も変化していく。実は彼は伝統ある祈祷師の家系に生まれ、過去のある出来事をきっかけにその素性を隠して生きてきた人物。霊の存在を信じていないように振る舞う態度の奥には、自身の過去から距離を取ろうとする思いも見え隠れする。序盤では軽妙なやり取りを見せていたチョン博士だが、物語が進むにつれて変化する心情の移ろいをカン・ドンウォンは丁寧にすくい取っている。
さらに面白いのは、作品そのもののトーンもチョン博士の変化に合わせるように移り変わっていくことだ。前半はインチキ除霊の仕掛けやインベとのやり取りで笑わせながら、悪鬼の存在が明らかになるにつれて空気は一変。誰に憑依しているのか分からない不気味さが増し、物語は一気に緊張感を帯びていく。その振れ幅の中心にカン・ドンウォンがいることで、ホラーとコメディという異なる要素が無理なくつながっている。
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そして後半では、彼のもう一つの持ち味であるアクションが前面に押し出される。悪鬼は一つの姿にとどまらず、人から人へと憑依を繰り返すため、誰が敵になるのか分からない。次々と状況が変わる中、チョン博士は七星剣を手に悪鬼へ立ち向かっていく。長身を生かした大きな動きや剣を振るう姿は見栄えがする一方、圧倒的な力で敵をねじ伏せるヒーローではなく、追い詰められながら必死に食らいついていくところも面白い。
こうした姿には、「チョン・ウチ 時空道士」で見せたコミカルなヒーロー像や、「プリースト 悪魔を葬る者」で経験したオカルト作品、「新感染半島 ファイナル・ステージ」などで培ってきたアクションといった、カン・ドンウォンの過去作を思わせる要素もある。ただし、それらをそのまま繰り返すのではなく、"霊が見えない祈祷師"という設定によって新しいキャラクターへと落とし込んでいる点が本作ならではだ。
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チョン博士と対峙する悪鬼・ボムチョンを演じるホ・ジュノをはじめ、ユギョン役のイ・ソム、インベ役のイ・ドンフィら共演陣も充実。さらに「パラサイト 半地下の家族」で夫婦を演じたパク・ミョンフンとイ・ジョンウン、BLACKPINKのジスもカメオ出演し、思わぬ場面で作品を盛り上げる。
インチキ祈祷師として軽口を叩いていた男が、本物の悪鬼を前にして自身の過去とも向き合っていく「憑依」。コミカルな芝居からシリアスな表情、さらには迫力あるアクションまで、カン・ドンウォンのさまざまな魅力が一つの役柄に詰め込まれている。彼がチョン博士をどのように"本物の祈祷師"へと近づけていくのか、その変化にも注目してもらいたい。
文=川崎龍也











