『ベイビー・ブローカー』が話題のカン・ドンウォン、デビュー直後に見せた「ツンデレ御曹司」の意外性

「1%の奇跡」
「1%の奇跡」

今年5月に開催された第75回カンヌ映画祭で喝采を浴びた映画『ベイビー・ブローカー』が話題を呼んでいるカン・ドンウォン。是枝裕和監督のメガホンの下、名優ソン・ガンホや歌姫IU(イ・ジウン)...といった錚々たるキャストが揃った中でも、彼の憂いを湛えた大きな瞳は独特の存在感を放っている。そんなドンウォンが約20年前に主演し、ツンデレ御曹司役が人気を集めたドラマが「1%の奇跡」(2003年)だ。

ドンウォンといえば、そのビジュアルが鮮烈な印象をもたらした初主演映画『オオカミの誘惑』(2004年)をはじめ、出演作の多くが日本公開されているが、そのキャリアは映画中心。現在のドンウォンからはギャップのある役柄も含め、「1%の奇跡」はある意味、今では貴重ともいえる初主演ドラマだ。

デビュー初期のカン・ドンウォン(「1%の奇跡」)
デビュー初期のカン・ドンウォン(「1%の奇跡」)

(C)2003 MBC

モデルとして活動後、俳優デビューを飾った「威風堂々な彼女」と同じ2003年、韓国MBCで放送が始まった「1%の奇跡」。"元祖・顔の天才"と称されたビジュアルや、主演抜擢までのスピード感からも、ドンウォンが俳優としていかに期待を集めていたかが窺える。

「1%の奇跡」は、ホテルなどを経営する財閥の御曹司ジェイン(ドンウォン)と、ごく平凡な中学校教師・ダヒョン(キム・ジョンファ)が遺産相続のために"契約交際"することから始まる物語。ハンサムだが性格は最悪のジェインと気が強いダヒョン、99%相性の悪い2人がたった1%の確率で恋に落ちていく様子が描かれる。

「1%の奇跡」
「1%の奇跡」

(C)2003 MBC

日曜日の午前中に放送されながらも14.1%という高視聴率を叩き出し、当時は「日曜日の朝、女子大生を起こすドラマ」と言われるほどの大ヒットを記録。2016年にはハ・ソクジンとチョン・ソミンでリメイク版も製作されるほど人気を博した同作だが、このオリジナル版ではドンウォンが自然と漂わせるカリスマ性や、身長186cmの抜群のスタイルがまず目を引く。御曹司のジェインがスーツ姿で車にもたれかかってヒロインを待つ姿など、一つ一つの仕草も実にスマートで絵になる佇まいだ。

「1%の奇跡」
「1%の奇跡」

(C)2003 MBC

そうしたビジュアルもさることながら、ストーリーが進む中で視聴者を熱狂させたのは、ジェインの"ツンデレ"ぶりだ。大威張りで部下たちに怒鳴り散らす一方だった彼が、ダヒョンとの出会いをきっかけに少しずつ変化していく。

怒りっぽいジェインは、契約交際を始めた当初はダヒョンにも感情をむき出しに。頭の切れるダヒョンに一本取られては「俺をバカにするな!」とイライラを爆発させ、仕返しされてはまた怒る、の繰り返し。ドンウォンは、俳優デビュー1年目とは思えない演技力で、「こういう人、いるよね」と思わされる説得力を醸し出し、傍若無人な御曹司を体現している。

「1%の奇跡」
「1%の奇跡」

(C)2003 MBC

そして中盤に差し掛かる頃、ジェインは少しずつ態度を変え始める。ダヒョンとのデート中に笑顔を見せたり、呼び出しに文句を言いながらもいそいそと応じ始める。ジェインのちょっとした変化にもキュンとしてしまうのは、序盤の"俺様"ターンがうまく効いているからだ。

反発し合っているはずなのに思わずダヒョンにキスしようとしてスネを蹴られたり、肩が露わになったセクシーなドレスで現れた彼女に自分のジャケットを着させて「もうそんなカッコするなよ」とヤキモキしたり、ダヒョンに携帯電話をプレゼントし、要らないと断られると「俺には必要だ。連絡が取れないだろ」と本音を呟いたり...。ダヒョンに求婚するライバルが現れると、ヤキモチぶりがさらに加速。ツンデレな魅力もますます溢れ出ていく。

「1%の奇跡」
「1%の奇跡」

(C)2003 MBC

"契約交際"という韓流ラブコメの王道設定ながら悲劇的な展開などはなく、1組のカップルの恋愛の過程と、家族や周囲の関係性をじっくり描き出したことで評価も高い「1%の奇跡」。40代を迎え、最新映画『ベイビー・ブローカー』の話題もまだまだ尽きない今、デビュー初期のフレッシュな姿を振り返ってみてはいかがだろうか。

文=酒寄美智子

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放送情報

1%の奇跡
放送日時:2022年8月11日(木)12:00~
※毎週(月)~(金)12:00~
チャンネル:女性チャンネル♪LaLa TV
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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