第1話で印象的なのが、塾の時間に間に合わせようと、渋滞するソウルの街を娘のソユンを抱えて走り回る場面だ。限られた昼休みの間に送迎を済ませなければならないうえ、午後の会議も迫っている。息を切らしながらも娘を励まし、必死に走り続けるジョンウンの姿からは、仕事と育児の両立に奮闘する母親の切実さが伝わってくる。
一方、自身の母親であるジア(チョ・ミンス)に助けを求める場面では、愛嬌を交えながら懇願する姿も見せる。職場では有能なマーケターとして振る舞うジョンウンが、母親の前では娘のように甘える。仕事中の頼もしい顔とのギャップが、ジョンウンの人間味あふれる一面を際立たせている。
チョン・ヘジンは、母親に甘える姿から、育児に追われて必死になる姿まで、ジョンウンの慌ただしい日常を生き生きと表現する。その必死さが"子育てあるある"としてのくすっとした笑いを生む一方、思いどおりにいかない育児に戸惑う姿には、思わず共感させられる。
そんなドタバタでほっこりするシーンとは対照的なのが、第1話で娘・ソユンの行方が分からなくなり、ジョンウンが動揺する場面だ。
病院でアートセラピスト(芸術療法士)として働く母・ジアに送迎を頼んだものの、ジアは病院で急患への対応を優先し、ソユンをひとりで待たせることに。塾に遅れることを心配したソユンは、自分でタクシーに乗って塾へ向かうが、道に迷ってしまう。
一方、塾からソユンがまだ到着していないと連絡を受けたジョンウンは、慌てて探し始める。仕事や送迎に追われる日常の慌ただしさから一転、娘の行方が分からなくなり、パニックに陥る。
チョン・ヘジンは、冷静さを保とうとしながらも次第に動揺していく母親の心情を、呼吸を通じて表現する。警察に保護された娘が無事だと分かり、安堵のあまり膝から崩れ落ちる姿も印象的だ。先ほどまでのコミカルな慌ただしさとの落差が、子どもを案じる母親の切実さを際立たせている。
仕事では頼もしく、育児では失敗や戸惑いも隠せないジョンウン。チョン・ヘジンは、その可笑しさと必死さを行き来しながら、仕事も子育ても完璧にこなそうとする母親の姿をリアルに演じている。さらに本作では、娘の教育をめぐる迷いや、母・ジアとの衝突を通して、親子3代の関係も少しずつ変化していく。チョン・ヘジンのリアルなワーママのコミカルな演技と繊細な感情表現を楽しみながら、それぞれの思いを抱える母と娘たちが、どのように向き合っていくのかにも注目したい。
文=HOMINIS編集部






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