チャン・ヒョクが切れ者の"悪い男"を熱演「主役なのにアンタゴニスト(敵役)」

「独占!チャン・ヒョク」
「独占!チャン・ヒョク」

主演作「カネの花~愛を閉ざした男~」で2017 MBC演技大賞最優秀演技賞を受賞した実力派俳優チャン・ヒョク。ドラマのみどころや共演者とのエピソードを語ってくれた。

毎回、出演作に愛着を持っているとおっしゃっていますが本作はどんな思い出がありますか?

「『カネの花』を撮影した時は"アンタゴニスト(敵役)"を演じてみたいと思っていました。しかし『カネの花』で僕がキャスティングされたのは主役だったので"プロタゴニスト(主人公)"といえますが、アンタゴニストに見えるように演じたいと思いました。ストーリーテラーでありながらも、舞台をかき乱すようなそんな役柄を演じてみたいと思っていたのですが、幸いなことに監督や出演者、脚本家とたくさん話し合ったおかげで視聴者の方にもそのことがうまく伝わるような作品に仕上がったと思います。」

今お話してくださったように、ストーリーや事件を引っ張っていくような役柄ですよね。そんな役柄でしたが、ご本人と似ている点や全く違う点について教えてください。

「そうですね。似ている点もあれば、全然違う点もあると思うのですが、僕は基本的に役作りの時や演技をする時に必ず自分に引き寄せて考えます。自分がどう感じたか、自分ならどういう選択をするか考え、そのうえで自分なりに解釈して表現していくのですが、僕自身とはかなり違うと思いました。感情の面では似ているところもありますが、状況が違いすぎます。ですので、カン・ピルジュという役柄をひと言で説明するならば"1つの目的(に向かう男)"でしょうか。ひたすら復讐という目的のために生きてきたくせに、なかなか復讐に踏み出せないという男なんです。復讐してしまったら、目的意識を失ってしまうのは分かっていますし、復讐してしまったら燃え尽きてしまうからです。本来なら17歳の時に復讐を決めたものの、歳月の流れにより気持ちが変わってしまうこともあると思います。そういうところに違和感を覚える人もいるかもしれません。また、ピルジュがどういう選択をするのかドキドキする人もいるかもしれません。そこを表現したいと思いました。」

「カネの花~愛を閉ざした男~」

(C)2017-8MBC

本作が韓国で放送された時も「今までの復讐ものとは全く違うドラマ」という点で高く評価されました。実際に演じてみて、どういう点が今までの復讐ものと違うと感じましたか?

「主人公に感情移入できる点では普通のドラマと同じですが、主人公なのにアンタゴニストのようだったので、主人公が問題を解決するのではなく、主人公が問題を起こしていく点が今までのドラマと違う点だったと思います。以前『マイダス MIDAS』というドラマに出た時に残念だったことは、主人公がストーリーテラーの役割をしているうちに、事件にひきずられてしまう、ということでした。ですので、いつか経済もののドラマに出る時は、事件を引っ張っていけるような役割をしたいと思っていました。今回は監督やスタッフや出演者とよく話し合って、その点を克服したいと思いました。」

それについて監督ともよく話し合いましたか?

「はい、もちろんです。今回の監督は女性の監督なんですが、僕とよく話し合ってくれました。本作は企業と経済をテーマにしたドラマなので、男性監督が演出していたら、事件を中心に展開していったと思うのですが、今回は女性監督ということで、監督の感性が生かされた演出となっています。各登場人物の感情を中心に描かれているので、それぞれの人物がどんな選択をしていくのかが、緊張感を持って描かれています。」

感情を抑えた演技が必要な役柄でしたが、ピルジュを演じるうえで、注意した点などあったら、教えてください。例えば、「目で表現するようにした」とか...。

「なるべく反応を見せないようにしました。自分を出さないようにする、ということは、相手の知りたい、という欲求に火をつけることになるので、自分をさらけ出してしまうほど、魅力が失せると思うんです。不必要なことは口に出さないで、必要最低限しか話さず、淡々とした感情表現を心がけて演じるようにしました。」

一番記憶に残っているシーンや気に入ったシーンなどありましたら、教えてください。

「一番記憶に残っているシーンは、弟のお墓のシーンです。お墓に埋められた弟に向かって『寒いだろうな』と言うんです。冷徹な役柄なのに、そうではない部分がクローズアップされたシーンでしたので、印象深かったです。全てを手に入れたと同時に、全てを捨てようとするのですが、結局、全てを捨てることができず、野心と欲望のままに、進んでいこうとする、ラストシーンも印象深いものでした。」

イ・スンジェさんとイ・ミスクさんという大先輩と共演した感想をどうぞ。

「大変勉強になりましたし、イ・スンジェさんは台本読みの時に、韓国における芝居の歴史についてお話してくださいました。イ・スンジェさんの演技の本質に関わるお話は大変興味深いものでした。イ・ミスクさんは姿勢や自己管理に関するお話をしてくださったのですが、すごくためになりました。外見に関することだけではなく、内面をどうやって管理していくかについて、後輩の僕たちに教えてくださいました。そんなお話を伺って、お二人の魅力をより深く感じました。」

お三方の演技が本当にすばらしかったです。若手のチャン・スンジョさんは、前半と後半では全く違う表情を見せてくれました。別人と思えるくらいの変身ぶりを見せてくれましたが、先輩としてアドバイスしたことはありますか?

「チャン・スンジョさんは舞台出身の俳優なので、稽古を重ねて演技をするタイプだと思いました。ですので、相手の演技を予想して、演技を組み立てるのかな、と思ったんです。でも僕は今回の作品でチャン・スンジョさんが視聴者の注目を浴びるためには、殻を打ち破るべきだと思ったんです。だからスンジョさんにはこう言いました。『君の予想どおりには演技しないよ』と。だから撮影のたびに僕も彼の予想を上回る演技をしようと心がけました。さまざまなリアクションで演技をしたので、スンジョさんの演技も豊かになったはずです。だから僕も彼のリアクションを受ける時は、1+1が2では誰でもできることなので、"1+1+α"でいきました。アルファの部分は相乗効果を生み出したと思います。撮影を重ねながらこういう努力をしていきました。」

"アルファ"を求められたスンジョさんは大変でしょうね。

「ええ。緊張したでしょうね。僕も彼と同じように緊張感を持って演技をしました。きっとエキサイティングな現場だったと思います。」

先ほど、監督についてお話されていましたが、女性監督ならではの視点のおかげで、作品性が高まったといえる点や監督が見いだしたチャン・ヒョクさんの新たな魅力などについてお話していただけますか?

「女性監督ということで、女性が魅力的に感じる男性像という視点で演出をしていました。女性が好む男性像と男性が好む男性像は違うんです。主人公は危うい野心の持ち主であり、少年を感じさせるような一面も持っているという設定で演出をされていたので、「この監督の演出はすごく頼もしい」と思いました。僕は"男性の思う男らしさ"を演じることはできますが、女性ならではの視点で演出してくださったので、助かりました。そういう女性ならではの視点や、事件の解決を中心にしたストーリー展開ではなく、事件を取り囲む登場人物の心情を中心とした演出をしてくださいました。おかげで緊張感が生まれて、ヒューマニズムやそれぞれの人物への思いがきめ細かく伝わるような作品に仕上がりました。テンポあるリズム感もすばらしかったです。ややもすると単調になりそうに見えるのに、あおるようにバストショットで撮るところなど、演技を生かした演出だと思いました。
そういう演出も好評だったようです。」

ピルジュはモヒョンに片思いをしますよね。ですが、復讐のためには好きな女性を利用することも辞さないのがピルジュという人物でした。そんなピルジュの恋愛についてどう思いますか?

「正直言って同情というよりも、かわいそうに思いますね。ピルジュは愛を知らない男ですから。目的を果たす方法も知らず、目的に向かって走り続けることしかできない男なんです。そうやって生きてきたので、習慣的に何かに向かって走り続けるしかないんです。子供の時に弟を亡くしてしまったため、その虚しさを埋めるために、何かをつかもうとするのですが、それは実態のない何かなんです。実態がない何かをつかもうとしているんですが、欲望ってそういうものですよね。片思いしているなら、思いを伝えればいいのに、それができないため、実態のない何かを永遠に追いかけ続けるんです。」

インタビューはこれで終わりますが、日本の視聴者の方にドラマの見どころなどの説明をお願いします。

「『カネの花』という作品の魅力は、企業を舞台にカネを取り巻く、人間の欲望を描いた点ですが、それだけでなく、登場人物が織りなす人間模様も描かれたドラマです。皆さんの心に深く突き刺さるようなドラマだと思いますので、ご期待ください。もうすぐご覧になれますよ。」

※インタビューの続きは9月13日(木)放送のインタビュー番組「独占!チャン・ヒョク」で!

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放送情報

カネの花~愛を閉ざした男~
放送日時:2018年9月26日(水)13:30~
※毎週(水) 13:30~
独占!チャン・ヒョク
放送日時:2018年9月13日(木) 17:45~

愛の棘
放送日時:2018年9月19日(水)1:00~


チャンネル:女性チャンネル♪LaLa TV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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