映画『神と共に』シリーズなどの映画出演も重ね、ド・ギョンス名義で活動する俳優としてのキャリアも順調なEXOのD.O.(ディオ)。入隊中だった昨秋の時点で、『神と共に』のキム・ヨンファ監督の新作『ザ・ムーン』への出演が決定したことも、大きな話題となった。
1月25日の除隊の日を迎える前から、早々と復帰作が発表されたことに驚いた人もいただろうが、それこそ多くの業界関係者が彼の"帰還"を待ちわびていた証拠。EXOの活動だけでなく、韓国では"演技ドル(演技のできるアイドル)"として高い評価を得る俳優ド・ギョンスの魅力とは一体どこにあるのだろうか。
ドラマに初挑戦した「大丈夫、愛だ」(2014年)からもその才能の片鱗は見て取れるのだが、役への没入ぶりと繊細な芝居は若手俳優の中でも群を抜いている。朴訥とした顔立ちは幅広い役に染まることができ、特に悲しみや葛藤に満ちた表情は見る者の胸を切なく締め付ける。
そうした意味で彼の魅力が最大限に発揮された代表作の1つが、ファン人気も非常に高いロマンス時代劇「100日の郎君様」(2018年)だろう。4月22日(木)より女性チャンネル♪LaLa TVにて放送される本作では、完全無欠の冷徹世子から生活力ゼロの無能男子へと転落することになる主人公を演じたギョンス。眉目秀麗で文武両道に秀でた世子(王位継承者)ながら、ある悲劇により心を閉ざしたイ・ユルと、記憶を失った庶民ウォンドゥクの一人二役を演じ、高い評価を得た。
正反対と言えるキャラクターに扮したド・ギョンスの演技は大変見応えがあり、序盤では不機嫌な世子・ユルをカリスマ性溢れるオーラで圧倒。「不愉快だ」が口癖の気難しい性格を鋭い目つきで表現して見せた。そして暗殺から逃れたユルが記憶を失い、庶民のウォンドゥクとして村で暮らし始めると、体にしみついた"世子"感がにじみ出る不遜なキャラクターに。庶民の生活に馴染めず何をやらせてもダメダメなのに口調だけは一丁前...そんなウォンドゥクと高貴なユルとのギャップが大きな見どころだ。
終始とぼけた表情で村の人々の意表を突いたり、へっぴり腰で薪割りもおぼつかないウォンドゥクの間抜けっぷりが最高に面白い。ウォンドゥクの正体を知らずに、偽装結婚をした訳ありの妻・ホンシム(ナム・ジヒョン)に対してのツンデレを超えた超俺様ぶりも、どこか憎めない絶妙さで、その複雑な役作りは見事というほかない。
かりそめ夫婦の関係性に徐々に変化が訪れる後半は、2人の距離がグッと近づき、キュンキュンシーンも満載。襲われたホンシムをウォンドゥクが果敢に助けに行く7話は、緊迫感のある対決と勇敢な表情が圧巻。2人の間に愛が芽生えた瞬間はこのドラマの名シーンだ。
ウォンドゥクの純粋な表情にどうしようもなく引き付けられる10話のバックハグ、最終話の美しく色っぽいキスシーンも視聴者にしっとりとした余韻を残し、この上ないときめきを与えてくれる。
ド・ギョンスの七変化の演技がドラマを大ヒットに導いた「100日の郎君様」だが、スリリングな幕開けから、胸キュン、おかしみ、じわりとさせられる感動までを盛り込んだ、時代劇ドラマ初主演作にして真骨頂ともいえる名作。彼のカムバックを前に、その魅力に改めて浸ってみたい。
文=川倉由起子
放送情報
「100日の郎君様」ノーカット字幕版
放送日時:2021年4月22日(木)19:45~
※毎週(月)~(金)19:45~
チャンネル:女性チャンネル♪LaLa TV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら