パク・シフの「アジア人気」を加速！国や文化の壁を超えた深い愛情と献身ぶり

40代となった今なお、瑞々しい存在感と巧みな演技力で韓流ドラマファンを惹きつける俳優パク・シフ。その人気は韓国のみならず、日本や中国などアジアに広く波及している。穏やかな表情と、包み込むような愛情表現――そんな彼の魅力が存分に堪能できる作品が、2014年の中韓合作映画『君の香り』(9月11日にアジアドラマチックTVにて放送)だ。

20代後半にして「快傑春香」(2005年)で遅咲きのドラマデビューを飾ったシフは、高視聴率を記録した「家門の栄光」(2008年)でブレイク。その後も「検事プリンセス」(2010年)、「王女の男」(2011年)など人気ドラマに立て続けに出演する一方で、映画初主演を飾った作品『殺人の告白』(2012年)では冷徹な連続殺人犯を演じ、高い評価を得た。

そんなタイミングで中国進出を果たしたシフだが、『君の香り』は中国国内で韓流スターとしては異例の拡大公開で上映され、大きな話題を呼んだ作品だ。恋人を追って訪れた上海で、偶然出会った中国人女性・ジュリー(チェン・ラン)の足に怪我を負わせてしまうという、韓国人デザイナー、インジュンを演じている。

怪我させた償いとして一時的にジュリーの家に寝泊まりし、家事や生活のサポートをすることになったインジュンは、気の強い彼女のワガママに振り回されるハメに...。互いの言葉が分からず、不自然な共同生活のはずだったが、インジュンはどこまでも優しく、その献身ぶりがとにかく心地良い。

ジュリーからの注文は、朝にはコーヒーを入れ、昼は室内の掃除、夜はディナーを作ること...など。インジュンは、気の強いジュリーにつっけんどんな対応をとられても気にかけることなく、心を込めてその一つ一つをこなしていく。

丁寧に食事をつくり、キッチンはいつもピカピカ。ジュリーがわざとゴミを放り投げても、嫌な顔一つせず拾う。2人の意思疎通はごく初歩的な英会話と、互いの表情のみ。そんな環境だからこそ、インジュンのおおらかさ、愛情深さが際立つ。シンプルな会話の合間ににじみ出るインジュンの人柄が、シフ自身の魅力と重なる。

深い孤独を抱えて生きてきたジュリーが思わず中国語で胸のうちを吐露すると、インジュンは言葉の内容が分かったのか分からないのか、ただ穏やかに「君は笑うと素敵だ」と囁く。インジュンはまさに、世の女性が理想とする彼氏像そのもの。決して高貴な役柄ではないのに、ジュリーへの献身ぶり、穏やかな笑顔、スマートな物腰は"貴公子"のように尊い。

シフはその後、優秀でチャーミングな御曹司を演じた「黄金の私の人生」(2017年)などを経て、昨年は9年ぶりの時代劇出演となったドラマ「風と雲と雨」(9月4日にアジアドラマチックTVにて第1話先行放送)で、また新たな魅力を見せている。

人の心を読み取る力に長けた朝鮮最高の知略家チェ・チョンジュンを演じた同作のインタビューにおいて、「チョンジュンは余裕があるんですが、そんな姿は似ていると思います。また人の話を真剣に聞く部分も似ていますね」と自己分析していたシフ。それは、おおらかで献身的なインジュンにもどこか通じるものがある。

"眼差しひとつですべてを表現する"と称えられる名優パク・シフ。これまで築き上げてきたキャリアや一連の作品群を通して、彼の持って生まれた人柄の魅力に改めて気付かされるはずだ。

文＝酒寄美智子

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