日本でも話題を集めた「赤と黒」(2010年)での"悪い男"ぶりで鮮烈な印象を残したキム・ナムギル。それから12年経った2022年、主演ドラマが3本も控えるという状況を迎え、再び存在感を高めている。
スターの登竜門的シリーズとしても知られるKBSの人気ドラマ「学校」シリーズ第1作でデビューした後、184cmの高身長、端正なルックスを活かして幅広く活動してきたナムギル。2008年に芸名のイ・ハン名義から本名のナムギルに戻すと、「善徳女王」(2009年)で一躍ブレイクを果たす。朝鮮半島初の女帝の誕生を題材にした歴史大作で、自らの生い立ちに苦悩するピダム役を見事に演じ、後に主役を連発するスター俳優への階段を上り出した。
その翌年、記念すべき初主演を飾ったのが「赤と黒」。本作は人生を滅茶苦茶にされた一人の男が、巨大財閥グループへの壮絶な復讐を果たそうとする愛憎のサスペンスドラマだ。
ナムギルが演じたのは、幼いころ無理やり親元から引き離され、巨大財閥ホン家の息子として育てられるも、DNA鑑定によって血縁関係がないことが判明し捨てられる...という壮絶な過去を持つ主人公。すべてを奪い去ったホン家への復讐のためだけに生きる男を、粗野な風貌でリアルに体現した。
また、ホン家に近づくためなら女性を利用することも厭わず、3人の女性との間で恋模様も繰り広げる。当時、大きな話題を集めた満員のエレベーター内で密かに指を絡ませあう"指キス"など、挑発的でダーティーな色気を漂わせた"悪い男"の魅力を振りまいたかと思えば、純粋な表情も時折覗かせ、影のある姿とのギャップが当時の視聴者を魅了した。
そんなダークな雰囲気を再び活かして主演を飾っているのが、KNTVにて5月30日(月)に第1話が先行放送される「悪の心を読む者たち(原題)」(6月18日より本放送開始)。同名のノンフィクション・ルポルタージュ本を原作とした本作は、プロファイラーの主人公が悪の心の闇を読み解き、犯人逮捕に迫る姿を描く本格心理サスペンスだ。
1990年代後半、赤いキャップをかぶった犯人による動機のない強姦殺人が多発するも、警察は犯人を捕まえられずにいた。そんな中、また女性が遺体で発見され、恋人が容疑者として捜査線に上がるが、刑事のハヨンは鑑識係長と共に再び事件現場を調べたところ、別の人物の指紋を発見し...。実際に韓国で起きた事件をモチーフにヘビーな物語が展開していく。
ナムギルが演じるのは、実在のプロファイラーをモデルにしたハヨン。感情を表現することは苦手だが、感受性は豊かで、その類まれな共感力を生かして犯罪者の心理を読み取り事件を解決に導いていく。被害者や遺族への深い思いを持ち、心の奥には情熱を秘めた根性のある男だが、悪の心に共感しなければならず、精神をすり減らし苦悩しながらも成長していくという繊細なキャラクターだ。
ナムギルもハヨンを演じるにあたり、実際のプロファイラーの立場になって考えようと努力したそうで、様々な犯罪者を知っていくにつれ、性善説と性悪説の間で絶えずに悩んだのだとか。真摯に役と向き合ったからこそのリアルな苦悩が演技にも現れており、演技自体はもの静かだが、悲しげな目つきやさりげない仕草から、ハヨンの心の疲弊が確かに伝わってくる。
現在42歳、中堅からベテランの域へと入りつつあり、キャリアにふさわしい丁寧な役作りと円熟味を増した演技で「悪の心を読む者たち(原題)」に深みをもたらしているナムギル。本作のほかにも、チャ・ウヌ(ASTRO)との共演でも話題を集める「アイランド」や「盗賊:剣の音」といった主演作が予定される今、今後ますますの活躍に期待したいところだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報
悪の心を読む者たち(原題) 第1話先行放送
放送日時:2022年5月30日(月)21:15~
※レギュラー放送は6月18日(土)より毎週(土)20:00~(2話連続放送)
赤と黒
放送日時:2022年6月6日(月)20:00~
※毎週(月)20:00~(2話連続放送)
チャンネル:スカチャン1(KNTV801)、KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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