5月16日に40歳の誕生日を迎えた俳優チュ・ジフン。韓国初のゾンビ時代劇「キングダム」シリーズがヒットを記録するなど世界的な人気を獲得しており、最近はJIN(BTS)が歌うテーマ曲「Yours」や、『猟奇的な彼女』(2001年)で知られるトップ女優、チョン・ジヒョンとの共演でも話題を呼んだミステリードラマ「智異山<チリサン>」(2021年)で注目を集めたばかりだ。
■「宮(クン)」の皇太子役でブレイク!アイドル的人気を博した20代のジフン
抜群のスタイルとカリスマ性を生かしてモデルとして活躍し、2005年ごろから本格的に役者として活動し始めたジフン。ブレイク作と言えば、日本でも熱狂的な支持を得た王宮ロマンスドラマ「宮(クン)~Love in Palace」(2006年)だ。もし韓国に王室が残っていたら...というユニーク設定の中、王宮で繰り広げられる恋愛を描いたこの作品で、ジフンが演じたのは高校生の皇太子役。複雑な立場ゆえの孤独を感じつつも、おてんばな女子高生と出会い素直な感情を取り戻していく様子を両立させ、ツンデレな魅力を存分に振りまいた。
この作品の他にも洋菓子店を舞台にイケメン4人が織りなす人間模様を描いた『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008年)や新婚夫婦の間に現れたミステリアスな青年に扮した『キッチン~3人のレシピ~』(2009年)など、20代の頃はそのクールなビジュアルが注目を集め、アイドル的な人気を博していた。
■演技派として飛躍!30代のジフンが存在感を発揮したチャレンジングな役柄
そうしたアイドル的なイメージを払拭するかのように、30代に入るとダークな雰囲気を纏ったチャレンジングな役柄にも挑んでいく。政治の腐敗を題材とした『アシュラ』(2016年)では修羅の道へ足を踏み外してしまう汚職刑事に扮し、『暗数殺人』(2018年)では警察を翻弄するミステリアスな殺人鬼を不気味に表現し、見る者を戦慄させた。
大ヒットを記録した『神と共に』シリーズでは、冥界の使者というトリッキーな役柄も地に足のついた演技で巧みに表現し、主演のハ・ジョンウと対等に渡り合う存在感を発揮。そんな役者として幅を広げた30代、演技派としての実力を最も見せつけたのが、6月5日(日)にアジアドラマチックTV (アジドラ)にて放送される映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』だ。
本作は朝鮮半島における南北の対立を背景にした実話がベース。北朝鮮の核兵器開発を巡り緊張が高まる1990年代、北朝鮮の実態を握ろうとする韓国のスパイの慎重な工作活動がシリアスかつ重厚に描かれる。
作品の随所に挟み込まれる談合シーンをはじめ、会話の積み重ねによって緊迫感が演出される役者の技量が問われる作品だが、虚実の入り混じった情報を巡って繰り出す、命を懸けた駆け引きの妙味を、実力派俳優たちがさすがの演技力で引き出していく。
韓国映画界きっての実力派ファン・ジョンミンが主人公のスパイ"黒金星"ことパク・ソギョンを演じているのに対し、ジフンが演じるのは北朝鮮の秘密警察組織、国家安全保衛部の課長チョン・ムテク。資産家として北に接触してくるソギョンのことを怪しく思い、絶えず疑いの眼差しを向けるクセ者だ。
ジフンは冷たい視線や薄ら笑いなど、クールな雰囲気で国のためなら何でもこなす冷徹なムテクを表現。同時にいつキレるか分からないような危うさを常に漂わせており、ソギョンに対して銃を突きつけて罵声を浴びせる瞬発力など、物語に緊張感をもたらしている。主要キャストでは最も若いが、ジョンミンら重量級の共演者たちに一歩も劣らない風格は圧巻だ。
数え年で40歳の時に演じた「智異山<チリサン>」でも悲しい過去を背負った山岳レンジャーを影のある雰囲気と肉体を駆使した体当たりの演技で表現し、深みをアピールしたジフン。今後もディザスタームービー『サイレンス(原題)』や犯罪娯楽映画『ジェントルマン(原題)』といった作品が控えており、役者としてどのような進化を遂げていくのか、その姿に注目したい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男
放送日時:2022年6月5日(日)5:00~
チャンネル:アジアドラマチックTV (アジドラ)
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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