「魔法少女まどか☆マギカ」や「幼女戦記」など、数々の人気アニメに出演している声優・悠木碧。子役として芸能活動を行う中で、2003年に「キノの旅 -the Beautiful World-」で声優としてデビュー(当時は「八武崎碧」名義で出演)。2008年に「紅」の九鳳院紫役でメインキャラクターを演じて以来、声優業を主軸にソロアーティストとして、そして竹達彩奈との声優ユニット「petit milady」としても活躍中だ。
彼女の最大の魅力は、長い芸歴に支えられた圧倒的な演技力だ。映画『君の名は。』のヒロイン・宮水三葉の同級生で親友の名取早耶香での純朴な演技や、『映画 聲の形』のヒロイン・西宮硝子の妹・結絃での少年とも少女ともつかない中性的な声などは、エンドクレジットを見るまで悠木がキャラクターボイスを務めていたとは分からないほど、幅広い声質で多彩な役柄を演じきっている。
そんな彼女がナレーションを務めるのが、ナショジオ ワイルドで放送されるネイチャー・ドキュメンタリー番組「美しきアメリカ:北西部編」だ。アメリカ北西部の美しい大自然と野生動物を紹介するこのシリーズでは、カスケード山脈の火山群、カリフォルニア州の巨大樹の森、モンタナ州の氷河、ロッキー山脈の過酷な自然、そして西海岸の雄大な海などで暮らすユニークでたくましい生き物たちを全5話にわたって紹介する。
第1話の舞台となるのは、アメリカ北西部の太平洋沿いに伸びるカスケード山脈。いつ噴火するか分からない火山群でありながら、今は美しい草原と雄大な山並みを臨むことができる。火山活動によって生まれた多様な地形と、そこに暮らすさまざまな動物たちの姿に、悠木はアニメではあまり聴くことのない、大人の女性らしい落ち着いた声で寄り添っていく。
アメリカで最も危険とされるカスケード山脈は、遠い昔から噴火によって大規模な破壊が繰り返されてきた場所。しかし、時間といくつかの材料により、豊かな自然を取り戻したことでも知られている。その材料の1つとして、最初に必要となるのが「水」だ。豊かな雪解け水が荒野を潤し、花を咲かせ、豊かな草原を呼び戻すまでの過程を、悠木は自然が持つ圧倒的な生命力への畏敬の念を込め、ゆったりとしたテンポで紹介していく。中でも、花の種が風に乗って、あちこちに広がっていく様子を伝える時の優しい声は、聴く者の心を癒やしてくれるに違いない。
オリジナル版は、低音の響きが魅力的なミドルエイジの男性ナレーション。悠木による日本語吹替版は、ファミリーをはじめ幅広い層が楽しめるような、親しみやすさが最大の魅力だ。ぜひ悠木の柔らかな声とともに、アメリカの大自然の美しさを堪能してほしい。
文=中村実香
放送情報
美しきアメリカ:北西部編
放送日時:2019年1月1日(火)21:00~
※毎週(火)21:00~
チャンネル:ナショジオ ワイルド
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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