アニメのみならず海外ドラマや映画の吹き替え、ナレーションやラジオ番組など、多方面で活躍する声優・日野聡。アニメでは「ハイキュー!!」の澤村大地、「弱虫ペダル」の新開隼人、「バクマン。」の高木秋人など、強い青春感を漂わせる作品におけるキーマン役や、「斉木楠雄のΨ難」の灰呂杵志で見せる熱血感のオバカキャラなど、一癖も二癖もあるあるキャラクターを多数演じてきたが、その真骨頂といえるのが、ここ数年爆発的な人気を博する「鬼滅の刃」の煉獄杏寿郎だ。
一方、韓国俳優のチュ・ジフンの吹き替えで「アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜」「暗数殺人」「宮 -Love in Palace-」などに参加。昨年大きな話題となった「愛の不時着」では、ヒョンビン演じるリ・ジョンヒョクの吹き替えも担当した。また、2010年から2020年には立花慎之介とともに音楽ユニット「ELEKITER ROUND 0」として活動した経験を持ち、エモーショナルなロックサウンドで、その芯の通った歌声の魅力を思う存分発揮した。
そんな彼が、ナショナル ジオグラフィックで放送の「仰天!世界の呪い伝説」でナレーションを担当する。ドラキュラ伝説や魔の海域バミューダ・トライアングル、呪術フードゥーなど、世界は呪いと謎に満ちている。そこで、作家であり探検家のサム・シェリダンが呪われた地を探して世界中を飛び回り、各地に伝わる歴史や言い伝えを調査。最先端の技術を駆使して、全5回にわたり呪いを検証する。
第1回は、ルーマニア・トランシルバニアのドラキュラ伝説の謎にサムが迫る。地元の人間に古くからの伝承を聞き取りする中、その歴史的背景を日野がナレーションで補足していく。凛とした彼の声が、時に恐怖を増幅させ、時にクスッとさせる。その巧みな緩急の付け方も、声優として百戦錬磨の日野ならではといえる。
また、サムが恐怖を伴う謎を深く追求する場面では、日野のナレーションが視聴者の心情を代弁するような一幕もあり、映像が進むにつれてどんどん引き込まれている自分に気付くことだろう。それほどまでに彼のナレーションは自然なものであり、本作において必要不可欠な要素だといえる。
字幕ベースで進行する作品において、ナレーションは出過ぎても少なくても意味をなさない。特に本作のような補足要素が重要となる作品では、不安と安心を交互に与え続ける上で、声のトーンや伝え方など、相当な技術が求められるはず。そういった意味で、呪いというダークなテーマを扱った本作で、日野が果たした役割は非常に大きい。
文=西廣智一
放送情報
仰天!世界の呪い伝説
放送日時:2021年10月15日(金)12:00~ほか
チャンネル:ナショナル ジオグラフィック
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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