――本作でも大事なシーンで登場するキリトの魅力は、どこにあると思いますか?
戸松「今作のキリトは、カッコイイよりも可愛い要素がたくさんあるなと思います。もちろん最後の方で見せ場もあって、『さすがキリト!』というところもあるんですけど、14歳なのでまだ女の子慣れしていないというか、コミュニケーション能力も初々しい感じなので、個人的には今回のキリトは可愛い感じがありました」
水瀬「TVシリーズで14歳のキリトを見ている時、私も同世代だったんですけど、当時はもっと大人っぽいキャラクターが好きだったんです。でも、時間が経ってキリトよりも年上になってみると、キリトの姿に母性をくすぐられる瞬間が多々あって、時の流れを感じました」
――お話できる範囲で、ストーリーで衝撃的だったところや面白いと感じたところはどこですか?
戸松「やっぱりミトがどういうふうに関わっていくのかは気になっていたので、シナリオを読む中で衝撃を受ける部分がありました。観てくださる方もミトに対する思いはいろんな感想が出てくると思います。《アインクラッド》という極限の中で、ミトの行動がある意味一番人間らしいんですよね。逆にキリトは超越し過ぎてて(笑)。キリトみたいに肝が据わっている人ってなかなかいないだろうし、アスナもあっという間にたくましくなって。お客さんにとっても、ミトは共感性が高いキャラクターなんじゃないかと思います」
水瀬「ゲームの世界は、自分たちがいる現実とは違う空想の世界に飛び込む楽しさが醍醐味だと思うので、リアルの命がリンクしていることが分かって、世界がガラッと変わった瞬間に、人の素の姿が浮き彫りになっていくのを感じました。だからこそ一人ひとりの人間ドラマがあって、逃げ出す人や立ち向かう人、いろいろな人がいる中でミトとアスナはどんな選択肢を選んでいくのか、内面の精神の強さみたいなものを感じる瞬間があって、そこが私の中でポイントかなと思っています」
――バトルシーンを含めクオリティーの高い映像となっていますが、見どころを教えてください。
戸松「もともとSAOは、すごくアニメーションのクオリティーが高かったんですけど、『劇場版はその場にいるような感覚になってほしい』という監督の思いで作られているそうです。今回、監督と少しお話をする機会があって、絵のこだわりを聞いてみた時に、背景の立体感や音の感じ方、テレビではなくスクリーンに対応した画質と色を考えて作られているという話をされていて、その思いが伝わってきました。やっぱり戦いのシーンを見てみても、大きいスクリーンに負けない動きになっているので、楽しみにしていてほしいです」
水瀬「武器で戦う時のエフェクトの色がキャラクターによって異なっているので、ミトが何色のエフェクトになっているのか楽しみにしていただきたいのと、公開されたキービジュアルでミトが大きな鎌を持っているんですけど、SAOシリーズでは初めて登場する武器なので、まだ誰も見たことがないんですよね。ミトがどんな戦闘スタイルなのか、旅の途中でアスナと一緒にどんなふうに戦闘に向き合っていくのか、今回は女の子チームでの戦闘スタイルになるので、注目して見ていただけたら嬉しいです」
――SAOで武器はキャラクターの個性に合わせて異なりますが、ミトが扱う武器が「鎌」であることに対して、どうのように感じましたか?
水瀬「鎌は死神のイメージが強かったので、最初は不穏な空気も感じたんですけど、本編でさっそうと戦っている姿を見られて安心しました。死神とまではいかなくても、光と影がこの世界にはあって、ミトの中にある光と影みたいなものを武器が象徴しているのかもしれません。ぜひ、そんなことも考えながら観ていただけたらと思います」
文・撮影=永田正雄
作品情報
劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア
公開日:2021年10月30日(土)
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